日本は法治国家である。
当然のことながら違法なことをやってはいけない。
裏を返せば違法でなければ
何をやってもいいということである。
もちろんそこにはマナーや良識というものが
絡んでくることになる。
違法ではないが他人にすこぶる
迷惑をかけるような行為は謹んだほうがいい。
これには私も同感である。
だが問題は何を持って迷惑となるのかという境目だ。
たとえば眠れないくらいの騒音や悪臭などは
法律で取り締まられている。
では合法だがマナーに欠ける行為とは何か。
たとえば電車の中での化粧や飲食はどうだろう。
歩きスマホやエスカレーターでの歩行も
マナー違反だと考える人は多い。
近頃話題になっている煽り運転に関しては、
免許取り消しという新たな法律が作られるようだ。
ただし煽り運転に関しては、
被害者側のマナー違反を指摘する声も多い。
すなわち「追越車線をトロトロ走る車を取り締まれ!」
という意見である。
トロトロとは言え、彼らは単に制限速度を守って
走っているだけである。
これをマナー違反と呼んでいいものなのかどうか、
意見が割れるところだろう。
実のところ法律も含め
善悪の判定は非常に難しいのである。
だからこそ法律があると言ってもいい。
違法はアウト。合法はセーフ。
マナーや良識に関しては自分で基準を決めるしかない。
ではこれを商売に置き換えるとどうなるのだろうか。
違法な商売はもちろんアウトである。
では来客を無視し続ける行為はどうだろう。
声をかけないどころか返事もしない。
笑顔もなければ一切の接客もしない。
違法ではないが著しくマナーに欠ける行為。
常識的に考えるなら、店や会社は
このような行為をできるだけ減らそうとするだろう。
だが常識は常に変化するものだ。
たとえばイケアなどは、手厚い接客をやらない代わりに
劇的な安さをウリにしている。
すべての条件を整えることも、
すべての人の良識やマナーに合わせることも、
現実的には不可能なのである。
かと言ってバランスを重視した
「そこそこ商材」や「そこそこサービス」は
完全なるレッドオーシャンである。
私の商売には何があって何がないのか。
私の商売においては何が善で何が悪なのか。
その境目を明確にしない限り
レッドオーシャンから抜け出すことはできない。
明確な意思と覚悟を持ち
「何が欠落しているか」を表明すること。
それこそが集客の要となるのだ。
境目を他人に委ねる商売に明日はない。
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