第6回「オンライン診療のススメ」
お医者さん
最近、オンライン診察の話題が多いが、あれは恐らく、今回の新型コロナウイルスの影響なんだろう。患者さんの減った医院が、オンライン診察で売上を立てようとしている。
お医者さん
うちはありがたいことに影響は少なく、患者さんも減っていない。だからまあ、オンライン診察は別にやらなくてもいいだろう。
先生、その考え方はちょっともったいないですよ。
絹川
お医者さん
…君は?
ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしています。
絹川
お医者さん
ふうん。それで、何がもったいないと言うんだ?
確かに今回、新型コロナウイルスがきっかけとなって、オンライン診察の認知は一気に広がりました。でも必ずしも、患者さんが減った医院が取り入れているわけではありません。
絹川
お医者さん
いや、だって患者が減ってないなら、リアルの診察を続ければいいだけだろう? わざわざオンラインでやる必要なんてないじゃないか。
確かに、そう考えるのが普通かもしれません。でも私は、患者さんが減っていない先生の病院のようなところほど、オンライン診察をする価値があると思っているんですよ。
絹川
お医者さん
え? なんで?
考えてもみてください。このような状況なのに、先生の病院は患者さんが減っていない。それはなぜだと思います?
絹川
お医者さん
う〜ん、自分ではよくわからないな。私はただ、いつもどおりの診察を続けているだけだから。
確かにご自身ではわからないかもしれませんが、先生の病院は、「とにかく丁寧に診察してくれる病院」だって有名なんですよ。ネットにもたくさん口コミが出ている。
絹川
お医者さん
そうなのかい? 私はあんまりネットは見ないから。でも、そう言ってもらえるのは嬉しいなあ。
つまり、患者さんたちからとても信頼されている。でもね、先生。いま先生の病院に通われているのは、地元の方がほとんどじゃないですか?
絹川
お医者さん
そりゃあそうだよ。うちはどこにでもある内科だからね。わざわざ遠くから来る人はいないだろう。
そう。逆に言えば、口コミなどを見て先生の病院に通いたいと思っても、距離を理由にそれを断念している患者さんもいるかもしれないということです。
絹川
お医者さん
ん? …まあ、そうだけど。でも、病院ってそういうものだろ? 顔と顔を突き合わせて初めて成り立つ仕事なんだから…
そこです、先生。だから「オンライン診察」なんです。
絹川
お医者さん
あ!
オンラインに、地域の垣根はありません。患者さんがどこにいようが、診察が可能なんです。実際、オンライン診察を導入している東京のクリニックは、関西や九州にお住まいの患者さんをオンラインで診察してます。市外、県外はもちろん、場合によっては海外からだって受診できる。
絹川
お医者さん
なるほど…つまりオンライン診察は、マイナスをゼロにする施策としてではなく、ゼロをプラスにする施策としても使えるということなんだね。
おっしゃる通りです!患者さんからすれば、距離を気にせずかかりたい病院に行けるというメリットになりますし、先生からすれば、より多くの患者さんに向き合えるというメリットがある。もちろん、結果的に収益アップにも繋がるでしょう。
絹川
お医者さん
なるほどなあ。
場合によっては、月、金はリアル診察、水はオンライン診察、というような運用をしてもいいかもれません。そうすれば収益だけじゃなく、先生自身の働き方の改善につながるかもしれません。
絹川
お医者さん
そうか! 患者さんだけでなく、私自身もどこにいようがいいわけか。なるほどなあ。いろいろとイメージが湧いてきたよ。ちょっと詳しい話を聞かせてくれないか?
医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。
著者:ドクターアバター 絹川 裕康
株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。