「ネットワーク設定を変えたら電話がつながらなくなった!」〜お医者さんは、なやんでる。 第55回 〜

第55回 「ネットワーク設定を変えたら電話がつながらなくなった!」

お医者さん
お医者さん
ああ……やっとつながった。まったく、システムを変更したらいきなり電話が通じなくなるんだものな。
お医者さん
お医者さん
まったく……「院内全部を一括管理できるシステムがいいですよ」って業者が言うから、その通りにしたのに。
一括管理系のシステムは、便利な半面、エラーが起こった時に一気にダウンしてしまう危険性がありますからね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうなんだよね。ネットワークの設定を変えたら電話がつながらなくなるなんて、そんなこと思いもしないじゃないか。って、あなたは確か……
こんにちは、ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、そうだったね。いいところに来てくれた。さっきまで業者が来ていろいろ対応してたんだけどさ、私には何が起こったかよくわからないんだよ。インターネットと電話は別ものでしょ? なんで電話がつながらなくなるの。
そうですね、正確なところはわかりませんが、恐らくこの医院の電話は「ひかり電話」になっているんじゃないかと思います。ネット回線を使った電話なので、ネットワーク設定に影響されてしまうんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なんと、そんなことになっていたのか。そういうのには疎いから全然知らなかったよ。
システム導入の際に一応説明はされているはずですけどね。でも、業者は納入先が「本当に理解できたかどうか」はあまり気にしませんから。むしろ、「なんだかよくわからない」という状態を望むものです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ええ? なんで?
だって、その方が自分たちの提案が通りやすいからですよ。本当は必要ないオプションを入れておいても、先生は気が付かないわけですから。まあ、そこまで露骨でないにしろ、「なんだかよくわからない」という状態にしておいた方が、業者は動きやすいわけです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
うーむ……ウチが付き合っているのがそんな業者だとは思いたくないけど、「絶対大丈夫」とも言えないなあ。だからこそ今回みたいな問題が起こったわけだし。でも、じゃあどうすればいいのかな。まさか私がイチからITを学ぶわけにもいかんだろうし。
解決策はいろいろ考えられるんですが、私がまずお伝えしたいのは、「システム化が常に正義、というわけではない」ということです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
んん? どういうこと?
つまり、「システム化する」と「システム化しない」という選択肢があった場合、「システム化する」が常に正しいとは思わないほうがいいということです。場合によっては「システム化しない」、つまりアナログで運営したほうがいい部分だってあるわけで。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど、院内すべてをシステム化する必要はないってことだね。
ええ。院内の状況、あるいは先生やスタッフさんの知識レベルをしっかり把握して、必要な部分だけシステム化していく。そういったやり方のほうがリスクは少なくてすみます。さらに言えば、業者の言いなりになりづらい。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほどねえ。確かにシステム化を進めたことで、むしろリスクは高まっている気もするなあ。
システムというのは結局のところは「手段」に過ぎません。どんな運用を行いたいか、どんな病院にしたいかによってその手段は変わってきます。まずは一旦冷静に、自分たちのことを見つめ直す時間が必要でしょうね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そう言われれば確かに、私は大した根拠もなく「周りも導入しているから」ということでシステム化を進めてしまっていた。そしていつの間にか、自分の病院がどう運営されているか把握できなくなっていたんだ。
どんなシステムだって最終的には「人間」が扱うものですから。突き詰めればそういったアナログな部分に行き着くわけで。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほどねえ。確かにそうだ。よし、システム化という話の前に、まずはあらためて自分の病院としっかり向き合ってみるよ。
そうですね! それを行うことで、システム化に限らずいろいろなことがスムーズになっていくと思います!
絹川
絹川

※ドクターアバター「お食事相談ツアー」の申込みはコチラから!

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

感想・著者への質問はこちらから