♯173「インスタントじょーぶつ」~ブランドファーマーズ・スクール第一期生より~

今週は!

一昨日(7月16日)、ブランドファーマーズ・スクール第一期生の卒業式&開業式を、若干滞りながらも無事執り行うことができた。3時間半という長丁場であったが、心温まる良い式であったと思う。そんなわけで、今回も引き続き、第一期生10名のみなさんが開業するビジネスについてネーミングを中心に紹介したい。

四人目に紹介するのは、谷口一也(41歳)さん。愛媛県松山市内で鍼灸院を営んでいる。谷口さんの第一印象は、線の細さと優しい面差し。ドラえもんののび太少年が大人になったような人だと思った。聞けば6年前に最愛の奥さまを亡くされたとのこと。大きな喪失感を抱えながら、鍼灸院の経営と二人のお子さんの子育てに力を注いでいたものの、一時はうつ状態にまでなったという。正直、ビジネスを開業できるようなエネルギーがあるのだろうかと心配になった。

そんな谷口さんの印象が変わったのが、3日目の講座。実習生一人ひとりに、自分の好き嫌い・得意不得意を発表してもらうのであるが、谷口さんが好きなこととしてあげたのは、なんと「耳掃除」であった。いわく「耳垢が取れることと、相手が気持ち良さそうにしていること。両方が好き」

耳掃除?むむむ、これは何かあるに違いないと、講師の安田がさらに深堀していくと、耳掃除は、谷口さんの隠れた人格のメタファーであることがわかってきた。「たしかに自分には人の奥底にくすぶっている感情をほじくってみたい欲求があり、話を聞くことで相手がすっきりしてくれるなら、生きがいを感じることができそうだ」過去を紐解けば、なるほど、そう思えるフシもある。

必殺仕掛人・藤枝梅安ならぬ、キモチの成仏師・谷口一也の誕生であった。では、谷口さんのビジネスを紹介しよう。

-タグライン-

行き場のないキモチなら、ここに置いていけばいい。

-ネーミング-

インスタントじょうぶつ

-コンセプト文-

匿名で交わす気持ちの成仏

僕にはかつて家族や友人に言えそうで言えない、宙ぶらりんな感情を抱えていました。十分に苦しんで、少し元気になったとき、無性に誰かに伝えたくなったのです。できれば僕を知らない人に。

モヤモヤした気持ちをカウンセラーに打ち明けました。聞いてもらうことで、その気持ちは整理されていきました。アドバイスや励ましもいらない。ただただ聞いて欲しかったのです。そのあと、いつの間にか僕のキモチは成仏しました。

でも、カウンセリングで気になったのは個人情報を記載するルールだったこと。秘密保持の約束でしたが、もし名前を検索されたら…。僕がどこの誰だかわかってしまいます。その不安だけが残りました。できれば僕の名前も知らない人と会話をして、そのままお別れしたかった。そんなインスタントな場があればいいのに。

そこで、宙ぶらりんな気持ちを抱えた人の、そのキモチが成仏できるお手伝いをしたいと思い立ちました。もちろんお互い匿名で。

些細なことでも、ずっしり重たい話でもかまいません。あなたがどこの誰なのか知らない僕だからこそ、そのキモチをフラットに受け止めます。その感情が僕を通過したとき成仏していれば嬉しいです。

その後、あなたへのお返事を「KIMOCHIのお墓」として当店のサイトに残します。一旦、そのキモチを置いていきませんか?あなたの中でケリがついたとき、いつでもお墓に立ち寄ってください。

そして一緒に手を合わせしょう。ジョーブツ、ジョーブツ。

 

鍼灸師とキモチの成仏師。谷口さんは、これからふたつの顔を持つ人として生きていくことになる。卒業式&開業式では「生業とは別に、自分が心からやりたいと思えるものに出会いたくてスクールに来ましたが、まさか自分の裏面がビジネスになるなんて」と、明るい表情で話してくれた。講義が進むにつれ、段々と前向きになっていく様子が画面越しにも伝わってきて嬉しくなった。

神さまは、それを乗り越え、糧にできる人に試練を与えるという。谷口さんには、世の中にあふれる行き場のないキモチを受け止め、ジョーブツさせてあげてほしい。

一人目はこちら:藤原裕士さんのビジネスネーミング
二人目はこちら:二瓶琢史さんのビジネスネーミング
三人目はこちら:塚本健雄さんのビジネスネーミング

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