変と不変の取説 第97回「真実はどこにある?」

「変化だ、変化だ、変化が大事だ」とみなさんおっしゃいますが、会社も商品も人生も、「変えなくてはならないもの」があるのと同様、「変わらないもの」「変えてはならないもの」もあるのです。ではその境目は一体どこにあるのか。境目研究家の安田が泉先生にあれやこれや聞いていきます。

 第97回「真実はどこにある?」

前回、第96回は「日本と中国の昔々」

安田

地理的な条件もあったんでしょうけど。卑弥呼の頃から、日本は「中国の属国」というか「弟分の弟分」みたいな立ち位置ですよね。

歴史的にはそうですね。

安田

日本文化の礎になってる文字とか、お金とか、ほぼ中国からいただいたもので。

建造物や芸術もそうですね。

安田

ですよね。西洋に傾き始めたのは、アヘン戦争で中国が負けたからですか?「もう中国はあかんわ」って。

そうです。日清戦争でも日本は清に勝ちましたから。

安田

勝ったんですかね、本当に。

一応、勝ちました。遼東半島を割譲されて日本はもらいましたんで。

安田

そのとき中国はひとつにまとまってなかったんですか。どう考えても、あんな大きな国に勝てそうな気がしないんですけど。

外国勢がうまく分断させたんだと思います。フランスとかイギリスとか。幕末の日本と同じですね。「幕府側か革命側か」で分断していった。

安田

ということは欧米諸国から見ると、一番の大敵はやっぱり中国だったと。「まずこの国を分割して弱らせないといけない」っていう。

そうですね。まず分割して弱らせようと。

安田

それを見て日本で明治維新が起こったわけですか?

そうです。「このままじゃやばい」って。

安田

「このままだと俺たちも植民地になるぞ」ってことですよね。

そうです。で、明治維新のあとに「文明開化」で西洋文明をガンガン入れた。

安田

東洋医学もそのあたりで決別したんですよね。

はい。暦も太陽暦に変えました。あれでかなり文化が変わってしまった。

安田

そういうのも西洋諸国が裏で糸を引いてたんですか。

新政府の「変えたい」という思惑と一致したんでしょうね。

安田

それで西洋チームに入って、「富国強兵」で海外から武器を買い、産業も興り、輸出もして。一気に日本は栄えていくわけですね。

軍事力と経済力はどんどん伸びていきました。

安田

でも最後は西洋文明に叩かれたと。裏切られたというか。

そうですね。

安田

あれはどういう図式なんですか。あまりにも成長しすぎたから?

思った以上に成長が早すぎて、彼らの計画が狂ったんでしょうね。

安田

どういう計画だったんですか?

うまく東アジアを占領しようと思ってた。でも日本が台頭しすぎた。

安田

で、叩いたと。

「こいつは叩いとかなあかん」ということで。日本の弱点であるエネルギーを「包囲網で絶った」ってことですね。

安田

じゃあ成長しすぎなければ、日本は西洋チームの仲間でいられたんですか。

仲間ではなく子分にしようと思ったんですよ。

安田

子分?体のいい植民地ってことですか?

そういうことです。

安田

なるほど。で、ちょっと目をかけてやってたら、調子に乗って「大東亜共栄圏」とか言い出して。「ふざけんな」って叩かれたと。

そうです。「人種差別やめろ」って日本人が言い出したので。「これはえらいことや」と。

安田

名誉白人の肩書きだけで「お前らは喜んどけ」ってことですね。

はい。あくまでも子分ですから。

安田

こういう裏事情って、歴史を勉強してる人なら知ってるわけですよね?

知ってるはずです。

安田

エネルギーを絶たれて、原爆を落とされて、統治権も奪われて。今ではアメリカの子分になっちゃった。

そういうことですね。

安田

それと比べたら中国には散々世話になってきたわけですよね。日本に対して「ひどいこと」をやったわけでもないし。

はい。そうです。

安田

「尖閣でひどいことやってる」って言われてますけど。アメリカやヨーロッパがやったことに比べたら、もうぜんぜん。

元寇ぐらいですね。あれは中国じゃなくモンゴルですけど。

安田

そうですよね。いまアメリカと中国の仲が悪くて。何の迷いも疑問もなく「私たちはアメリカチームだ」ってみなさん言いますけど。いいんでしょうか?

西洋諸国の作戦と思惑に「はまってしまった」ってことでしょうね。教育もすべて。

安田

現在の日本から見たら中国は「とんでもない国」に見えます。

そうですね。

安田

だけど歴史的に「ひどいことしたのはどっちなの?」って考えちゃいますよね。世界中を植民地にしたのは西洋人ですし。なんで中国はここまで悪者になってるんですか?

やっぱり潜在能力が高いからじゃないですか。

安田

ちょっと前まで中国はロシアと並んで貧乏な国でしたけど。商売を自由にした途端に国力がガーッと伸びていきました。

前回も言いましたけど、もともと商売の得意な民族なんですよ。商売やらせたらすごい。

安田

じゃあ共産革命で「平等にいこう」ってのが、自分たちの首を絞めることになったと。

そうです。いちばん苦手な領域にいっちゃったんです。

安田

なんで中国の国民は黙ってたんですか?

共産主義というのは貧乏人にとって非常に魅力的な思想なので。あれだけでかい国を統治しようと思ったら、イデオロギーでひとつにしないと無理ですから。

安田

なるほど。

昔は儒教というイデオロギーがあった。でも儒教では西洋に太刀打ちできない。だから西洋の人たちも理解している共産主義で統治した。

安田

なるほど。じゃあ国をまとめることが目的だったと。

そうです。西洋諸国に分断されちゃったので。

安田

思ったより貧乏になっちゃったので、「これはまずい」ってことで商売を自由に戻した。それで「一国二制度」になったと。

はい。そういう流れです。

安田

日本人が嫌ってるほど「中国人は意識してない」って言われますけど。「今まで目をかけてやってたのに西洋に寝返りやがって」みたいな感情はないんですか?

どうでしょう。少なくとも嫌ってはいないと思います。

安田

じゃあ「もう1回、東洋どうしで仲よくやろうよ」ってことも可能だと。

そう思ってる中国人は多いと思います。「一緒に発展しよう、近くやし」って。

安田

会って話してみたら結構フレンドリーですしね。食べ物の好みも近いし。今後はアメリカじゃなく中国についていくという可能性もあるんですか?

たぶん一緒に文化をつくるには、すごく相性がいいと思うんですよ。「社会」とか「共産主義」って言葉は日本人がつくったので。

安田

え?そうなんですか。

はい。800文字ぐらい漢字を日本から輸出してるんです。それを中国人が使ってるので。「一緒に文明をつくっていく」というのは可能だと思います。

安田

でも、この手の話をすると「絶対に中国なんか嫌だ」ってみんな言いますよ。「絶対アメリカだろう」って。

洗脳されちゃったんですよ。アメリカ文化は「自由で、人権が守られてて、素晴らしい」って。だから教育を根底から変えるしかないんです。


場活師/泉一也と、境目研究家/安田佳生
変人同士の対談


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第1回:「変わるもの・変わらないもの」
長い間、時間をかけて構築された、感覚や価値観について問い直します。

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