このコラムについて
小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?
と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。
第47回「プロスポーツクラブの雇わない経営。スポーツ選手もパラレルキャリアの時代へ。」
「プロスポーツ選手の新たな生き方」
この時期、
スポーツニュースを賑わせているのは、
プロ野球の「ストーブリーグ」。
日本一の球団が決まり、
来シーズンに向けて、
新人選手が契約したり、
フリーエージェントで名のある選手が、
残留したり、はたまた移籍したり、
野球に興味がない人にとっては、
どうでもいいことなのでしょうが(笑)
選手にとって辛いのは、
「自由契約」でしょう。
これは、プロ野球に関わらず、
プロスポーツ選手であれば、
誰しもが嫌なことなんだと思います。
プロスポーツ選手は、
全員が「個人事業主」です。
フリーランサーなのです。
能力やスキルを請われて、
各チームと契約をしますが、
チーム構想から外れたり、
能力がないと判断されれば、自由契約。
会社員には自由契約はありませんので、
恵まれていますね。
さて、そんなプロスポーツの中で、
新しい取り組みをしているチームがあります。
プロバスケットボールB.LEAGUEの3部に所属する
「さいたまブロンコス」。
埼玉新聞のサイトより
このクラブに所属する選手たちは、
全員がもう一つの肩書を持っているといいます。
営業だったり、商品デザイナーだったり、実業家だったり…
クラブ所属のプロ選手でありながら、
クラブ経営の仕事もしていると言うわけです。
例えば、スポンサーの開拓というのは、
チーム運営に欠かせない仕事の一つですが、
普通のクラブ(球団)は、専任に営業職がいて、
スポンサーの新規開拓に奔走することでしょう。
しかし、さいたまブロンコスでは、
選手が営業パーソンとなってスポンサーの新規開拓へ。
売上の30%は成功報酬として渡されるんだそうです。
簡単に言えば、「社員を雇わない経営」に近いのです。
小さなブルーオーシャンを生み出しているものは何なのか?
この戦略を打ち出したのは、
プロ野球球団「横浜DeNAベイスターズ」の
初代球団社長で、
2020年よりさいたまブロンコスの社長に就任した
池田純氏。
いくらプロチームとは言え、
選手の年俸が数千万、数億になるのは、
野球やサッカーのような
ごく一部のスポーツと選手のみ。
プロ選手として専念しても、
思うような給料は手に入れられないでしょう。
そこで、さいたまブロンコスでは、
経営周りの仕事をしてもらうことで、
選手自身にも潤ってもらおうと考えたわけです。
これはとても良い手法だと考えられます。
まずは、そのクラブ(球団)、チームは
何を売っているのか?
ゲームを観せるための入場料、チケットやグッズ
を売っているのではなく、
選手自身を売っていると考えられます。
選手自身が売り込んで来れば、
その選手、そのチームのファンにもなるでしょう。
また、選手たちも自チームを売り込むことで、
ロイヤリティも上がります。
プロ選手は、引退後のキャリアに悩むと言います。
監督やコーチ、あるいは解説という仕事を
得られるのもごくわずか。
それ以外は、職を探し、第二の人生を歩む人が
ほとんどです。
それまでプロフェッショナルとして、
競技に打ち込んでいた人が、
突然、新しいことを学ぶ。
大変なことでしょう。
さいたまブロンコスのように、
選手をしながら兼業すれば、
選手としての価値、
ビジネスパーソンとしての価値、
両方を伸ばすことができます。
セカンドキャリアにも役立つでしょう。
これからの時代、
企業も従業員も、
雇用方法、働き方を工夫して、
新たな働き方を創る必要がありますね。
株式会社グロウスブレイン 代表取締役
大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。
中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。