第33回「料理サービスのミライとは?」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 33  料理サービスのミライとは?

在宅時間が増え、料理を始めた皆さん!
私も新しいメニューに挑戦しましたが、どうも味付けがうまくいきません。
ですが、この発明があれば、そんな失敗は無くなるかもしれません。


特開2020-107298号(出願人:クックパッド株式会社)
【発明の名称】定量的レシピ情報作成支援システム等
<概要>レシピ情報の定性的(感覚的)表現を定量的(数値的)表現に変換するシステム等を提供する。


クックパッドには500万をこえるレシピが投稿されています。
このサービスの良いところは、一般ユーザーの知見を集める点ですが、それ故にユーザー毎に書き方がマチマチです。料理特有の「少々」「適量」「飴色になるまで」のような定性的な表現も多く、料理の味にバラツキがでる問題もありました。
本発明は、定量的な表現の入っている類似料理のレシピデータを探し出し、「200度に温めたオーブンで20分焼く」、「塩3g」、「出力600ワットの電子レンジで5分温める」といった表現に変換するシステムです。

未来コンパスが指すミライ

この発明は、ユーザーの便利さ、サービスの正確さを補完するものですが、違う視点を加えるとニューマーケットが見えてきます。

【定量レシピ×おふくろの味】
先日、実家に帰ってブリ大根を食べました。
万人にとって、もっと美味しいブリ大根はあると思います。でも、私にとっては、これがおふくろの味。この味が食べたいのです。
おふくろの味こそ、従来のレシピに表せないような微妙なサジ加減によって出来ており、このサジ加減を定量化することで、おふくろの味を再現できようになります。

微妙なサジ加減を残すのがおふくろの味の良いところ、と言う意見があるかもしれませんが、
「二度と食べられないと思っていた味を再現するサービス」と聞いたら如何ですか。

食事は、味覚や嗅覚はもちろん五感をフルに使うため、記憶と強く結びつきます。今はもう会えなくなってしまったけど、子供の頃に食べていたお母さんのご飯をもう一度食べたい、そんな想いを抱えた方は必ずいます。今のうちにおふくろの味をデータ化しておき、将来 アナタだけの大切な思い出の味にもう一度会うのです。

今後は、テクノロジーと思い出を掛け合わせた顧客一人ひとりに寄り添ったサービスが出てきます。物質的な豊かさに加えて、情緒的な豊かさも満たしてくれるサービスがミライの料理マーケットを作っていくでしょう。

 


 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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