第22回「中東でもYouTubeやFacebookにはアクセスできるのですか?」

日本人は中東を「イスラム教の国々」と一括りにしてしまいがち。でも中国・北朝鮮・日本がまったく違う価値観で成り立っているように、中東の国だって様々です。このコンテンツではアラブ首長国連邦(ドバイ)・サウジアラビア・パキスタンという、似て非なる中東の3国でビジネスを行ってきた大西啓介が、ここにしかない「小さなブルーオーシャン」を紹介します。

  質問  
「中東でもYouTubeやFacebookにはアクセスできるのですか?」

はい、できます。

イスラム教は戒律が厳しくてインターネットにも制限がありそう、というイメージを持たれる方もいると思います。たしかに一部の国、たとえばイランではYouTubeやFacebookは規制されているようです。サウジアラビアでもテロ関連や反政府的な内容などは検閲されていると聞きますが、実際に現地でインターネットに接続する分には特に不自由は感じません。(アダルト系はブロックされる国もある)
Wi-fiに繋がるスポットも多く、通信環境も悪くありません。

FacebookやInstagramなどSNSの浸透率もかなり高いように思います。
日本ではTwitterが人気ですが、湾岸諸国ではどちらかといえばテキストメインの媒体よりもInstagramやSnapchatといったビジュアルメインのSNSの方が好まれる傾向がある気がします。


(↑サウジアラビアの2020年ネット利用状況統計。Global Media Insightより)


(↑同じくサウジアラビアのSNS利用者数ランキング。Global Media Insightより)

人口の約4分の3がSNS利用者で、ネットに触れる時間は日本人の平均よりも長いです。
ランキングトップのSNSはYouTubeですね。

現地で主にゲーム実況やスポーツ観戦の動画をアップロードしているYouTuberに会ったことがあります。
彼の動画は毎回、アップ後一週間で約90万回ほど再生されており、一緒に歩いているとファンが寄ってきて「一緒に写真撮ってください!」と言われるほどの知名度です。横にいた私も「お前もついでに一緒に写っとけ」と何度か巻き込まれました。
以前、サウジアラビアはYouTubeのトラフィックが世界一多い時期があったという話を聞いたことがあります。情報の正確性はともかく、それほどよく見られているということなのだと思います。

SNSはビジネスの観点からも無視できません。
ユーザー同士で動画や画像のシェアが相当頻繁に行われているため、現地でマーケティングをする上で画像や動画系SNSの活用は必須事項となっています。

Instagramで個人ショップを運営している人もいます。彼らは自分で仕入れてきた商品をそこで販売しているのですが、私のところにも日本の商品を紹介してほしいという問い合わせが入り、サンプルを送ることがあります。彼らはそれを受け取るやいなや、早速Instagramにアップロードして販売しています。

ビジネスだけではなく、生活面でもSNSの役割は小さくありません。家族がたとえ離れたところに住んでいても、メッセンジャーで毎日のように連絡を取り合っている姿をよく見かけます。そのコミュニケーションの頻度たるや、一般的な日本人よりもはるかに多く、もはやSNSなしの生活など考えられないのではないかと思えるほどです。

ちなみにサウジアラビアのモバイル端末(スマホ)普及率は116%で、近隣の湾岸諸国もおそらくそれほど大差ないと思います。思っているより普及しているんだな、と感じた人も多いのではないでしょうか?
日本と同じく、日々の生活からもビジネスからも到底切り離せないほど、深く浸透しているように感じます。

テキストよりもビジュアルを重視する彼らのSNS運用方法は、我々日本人にとっても新鮮で、学ぶべき部分も多いと感じます。彼らのSNSをフォローしてみると面白いかもしれません。

 

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 この記事を書いた人  

大西 啓介(おおにし けいすけ)

大阪外国語大学(現・大阪大学)卒業。在学中はスペイン語専攻。
サウジアラビアやパキスタンといった、どちらかと言えばイスラム感の濃い地域への出張が多い。
ビビりながらイスラム圏ビジネスの世界に足を踏み入れるも、現地の人間と文化の面白さにすっかりやられてしまった。
海外進出を考える企業へは、現地コネクションを用いた一次情報の獲得・提供、および市場参入のアドバイスを行っている。
現在はおもに日本製品の輸出販売を行っているが、そろそろ輸入も本格的に始めたい。大阪在住。

写真はサウジアラビアのカフェにて。

 

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