国の借金って、もう1000兆円を超えてるんですよね?
はい。1000兆は軽く超えてます。
これって誰が貸してて、誰が借りてるんですか?ネットを見るといろんな意見があって。
炎上しそうな質問ですね(笑)
久野さんはいつも「日本人が日本の国債を買ってる」って言うじゃないですか。
そうですね。銀行の預金もそこに回ってますから。
ということは、つまり国民が貸してるってことですよね?国にお金を。
そうです。
なのに、それを返済するために税金を上げるって、これどういうことなんですか。
納得いかないですよね(笑)
そりゃそうですよ。国民から借りた金を返すのに、国民から取ってどうするんだって。どういうことなんですか?これは。
要はキャッシュの問題です。現金がないので、使いたいお金を借りてこなきゃいけない。
それは分かります。
だけど返しきれていないので、その分どんどん借金が積み上がってる。
そこまでは理解できます。理解できないのは、なぜそれを返すために税金が上がるのか。
国というのが1人の人間だとすると、収入源は国民が払う税金ですよね。
はい。それしかないですね。
だけど国民がそれ以上に「お金を使いたい」と言ってるわけです。そしたら誰かから借りてくるしかなくて、それを国民から借りてきてる。それだけの話。
収入源は国民しかないから、国民から取るしかない。だけど借金も国民から借りてる。
そう。国民から借りてる。だけど国民に返してもらうしかない。
ということは今後も「国民が欲しがるなら、さらに国民から借りる」そして「国民に返させる」それしかないと。
国の借金問題というのは、そもそも国が何年生きるかって問題なんですよ。
え?どういう意味ですか。
たとえば日本が「あと2年で終わるよ」っていったら、安田さんは是が非でも2年以内にお金を返してほしいでしょ?
私は貸してませんけど。
貸してます(笑)
貸した覚えないんですけど(笑)貸してるんですね。
税金を払ってる時点で、貸してるようなもんです。
おそらく、みんなその自覚がないと思います。
そこはまた別の問題ですけど。とにかく貸したお金を回収しようと思うじゃないですか。
そりゃ思うでしょうね。貸しているとしたら。
だけど誰も日本が終わるとは思ってないんですよ。日本人は。
思ってませんね。
たとえば国の寿命が1万歳だとしたら、今の借金って大した問題じゃないんです。
なぜ?
返済を先延ばしにすればいいだけだから。
先延ばしにしても、いつか返さなくちゃいけないです。
いえ極論すれば返さなくてもいい。日本という国がずっと続くなら、それで問題ないわけです。
それは国民が貸し続けてくれるから?
そう。だけど仮に日本があと10年しかもたないと国民が思ったら、これはとんでもないことになる。
つまり「日本はずっと破綻しない」と国民が思っていれば、借金がたとえ5000兆になっても問題ないってことですか。
国際的にはいろいろ言われますけど、理論上は問題ない。
1000兆の時点で、すでに異常な借金国ですもんね。
だけど円は暴落してないでしょ。
それは日本国民が「日本は大丈夫だ」と信じてるからですか。
そうです。信じてるから日本はすごいんです。
1000兆も借金のある国の通貨が国際的に信頼されるのは、ひたすら国民が信じているからだと。
もしこれが海外だったら銀行に預金者が殺到します。ドルに換えておこうみたいな話になるので。
借金が1000兆を超えても、日本人は誰も銀行に行きませんもんね。
日本人はすごく平和なんですよ。日本のことをすごく信じてるので。
たとえば国民にも貸すお金がなくなっちゃったら、これはどうなるんですか?
誰も国債を買えなくなるとまずいです。ただし最後は「刷っちゃえばいいんじゃないか」って説はあります。
どんどん刷って、どんどんばら撒いても、問題ない?
国民が円を信用している限りは問題ないです。
すごいですね。
はい。日本人はすごいんです。
じゃあアメリカが自国の借金を増やさないのは、国民が信用していないからですか?
アメリカと日本では位置づけが違うんですよ。アメリカはやっぱりドルのクオリティーを保ちながらやっていかなきゃいけない。
ドルが暴落したら世界中が混乱しますもんね。
世界経済が大変なことになります。それにアメリカは税収が増え続けている国ですから。借金を増やし続ける必要がありません。
そこが日本との決定的な違いですか。
はい。増益し続ける会社と減益し続ける会社の違いですね。かじ取りがぜんぜん違う。
会社だったら減益が続けばどこかで破綻しますけどね。
減益し続けているのに国民が貸し続けてくれる。これが日本の謎ですよね。アメリカは増収してるのに「10年後、20年後はどうなるか分からないよね」というカルチャー。
なるほど。つまり行き着くところはカルチャーですか。
やっぱりそこが違うんだと思います。
日本は完全に先細りじゃないですか。この先どんどん人口が減っていって、だんだん弱っていくわけですよね。しかも介護や医療に莫大なお金がかかる。
その通りです。
それを支えていくのは日本人の信用しかないと。
ないです。
もしそれがなくなった時はどうなるんですか?
最終手段はインフレですね。要は借金の額を実質的に目減りさせていく。
円という通貨を暴落させて、実質的な借金を減らすってことですか。
いつかはそれをやるしかない。今はそのXデーを未来に先送りしてるだけです。
久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/
安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。