第141回 外資はシビア?

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/外資はシビア?

「新たに入った社員が組織に馴染むために、どんな『オンボーディング』をしているの?」みたいな、ご質問をいただくことが増えています。

背景には、大手企業でも「若手を中心に離職が増え」「新入社員の早期戦力化」「中途社員の即戦力化」に注力しているご状況があるようです。

「on-boarding(オンボーディング)」とは、簡単にいえば、

「新人だろうが、中途だろうが、『長期間、定着してほしい』し、『早く、戦力になってほしい』」、

それを目指すための取り組みのこと。

・各組織の詳しい業務内容や人員構成などを共有する勉強会を設ける

・ランチ交流会などを、リアルでもオンラインでも開催し、メンバー間の親睦を深める

・メンター制度を設けて、専属の関係性を作り、疑問や不安に対応する

・上司・部下での「1on1ミーティング」を実施し、心理的安全性やエンゲージメントの向上に繋げる

などの取り組みを実施している大手さんは多いでしょう。

先日、外資系ITコンサル大手の役員Yさんと雑談する機会をいただきましたので、

「御社では、どんな取組みをなさっているんですか?」と訊ねてみたのですが、

「ウチは、オンボーディングの定義を『戦力化させること』に特化している」

「『定着』に比重を置くのではなく、『早期成長、早期活躍』に重きを置いているんです」

「中途でも新卒でも、入社した直後の方々は、『早く成果を出したい!』という思いがベースにあって、さらには『この組織が自分に合うかどうか?』『成長する場所として適切なのか』、早い段階でジャッジする方が多いように感じます」

「なので、戦力となっていただくために、」

「『期待と役割』をしっかりと伝え、それを成し遂げるためにある『組織ナレッジ(knowledge)』の存在も明確に共有する。それだけですよ」

「誰かが『我先に!』と成果をあげてくれれば、あとは、『自然と切磋琢磨できる環境』が出来上がります」

「残念ながら退職してしまう方も出てくるでしょうが、定着にこだわることは、『全くもって不要』かな、と」

「優秀な人は、優秀な人が多く存在する組織でこそ、活躍したいものなのだと。自然と『優秀層が定着』してくれるものだと。そう理解しています」

なるほど。

確かに、誰かれ構わず『定着』を目指すより、『活躍できる環境づくり』にフォーカスすること、とても大切ですね。

「『外資はシビア』だなんて言われますが、『ぬるま湯な環境作り』ばかりしている会社や組織が他に多いだけだと思うんですよね」

なにやらグサッと突き刺さった言葉でした。。

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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