この対談について
“生粋の商売人”倉橋純一。全国13店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。
第11回 BtoCビジネスは実店舗を作るところから
第11回 BtoCビジネスは実店舗を作るところから
マーケティングではよく「顕在マーケット」と「潜在マーケット」という話がされますけれど。
「既に本人が欲しいと思ってるものを売る」のと、「本人はまだ気づいてない欲しいものを掘り起こす」っていうことですよね。
そうそう。それで言うと倉橋さんのビジネスは「潜在マーケット」を狙っているように見えるんです。そのあたりいかがですか?
仰るとおり、ビジネスでいつも考えているのは「潜在マーケット」の掘り起こしですね。
ああ、やっぱり。そう意識するようになった理由はあるんですか?
中古ビジネスを長く続ける中で、自然に辿り着いたというか。中古ビジネスって何でも商材になるんですよね。で、多くの商材の場合、それぞれ既に有名な会社があって。
ああ、ピアノだったらタケモトピアノ、みたいな。
ええ。そういう有名企業がギターとかおもちゃとかにそれぞれあるわけです。それらは既に顕在マーケットになっているけど、それ以外にも商材になるものは無数にあって。その中で何か一つの商材に焦点を当てて、ユーザーにどうアプローチしていくかを考えてニーズを掘り起こしていく感じです。
なるほど。でも潜在マーケットって、掘り起こしてみないとわからないじゃないですか。もしかしたら全く売れないかもしれないわけで、かなりのリスクがあるようにも感じますけど。
う〜ん、そこは潜在マーケットだろうと顕在マーケットだろうと、あまり変わらないと思っていて。最終的にお客様が「買う」という意思決定に至らなければ一緒なので。
なるほど、確かにそういう意味では同じですよね。顕在マーケットの場合は、同業他社がいるので競争が起こるというプラスのリスクがあるだけで。
そうですね。「競争で勝ち残れないリスク」と「掘り起こしたマーケットが当たらないリスク」のどちらを取るかってことですよね。ちなみに安田さんはどちら派ですか?
私は競争が苦手なので、完全に潜在マーケット派ですね。まだこの世にないものを売る方が楽しいですし。
ですよね。でも世の中って、顕在マーケットでビジネスをしてる人の方が圧倒的に多いですよね。
特に日本ではそうですよね。潜在マーケットを顕在化するなんてギャンブルみたいなものだと思っている人がすごく多い。
でも、ちょっと変な言い方ですが「顕在化している潜在マーケット」も確かにあるんですよね。フリーマーケットとスマートフォンをくっつけたメルカリとか、登場してしまえば皆が「これが欲しかったんだ!」と気付くもの。
ああ。確かに。そう考えると何かと何かをマッチングさせるものが多い気がしますね。時間とアプリをくっつけて、タイミーができたり。
ええ。そういう、マッチングしてスマホで表現するのが一つのブームになってますよね。でも実を言うと、僕は正直少し苦手なんですよ。経験上、デジタルよりもリアルのビジネスの方が想像しやすいというか。
へえ。苦手分野もあるんですね。ちなみにデジタルよりリアルのほうがビジネス的に優れている点ってどこにあると思いますか?
う〜ん、一言で言うのは難しいですけど。デジタルよりもリアルの方が小資本でできるというのはあるかと思います。
えっ、リアルの方が小資本でできるんですか? 実際お店を構えるって、ネットの中にサイトを作るのに比べたらものすごいお金がかかると思うんですけど。人も雇わないといけないし。
確かにそれはその通りなんですが、リアル店舗って、お客さんの顔が見えるじゃないですか。そうすると、例えば2階の売り場まで上がってくれなかったとしても、「上がってくれない理由」がわかるわけです。
なるほど。お客さんの反応を分析して改善につなげやすいということですね。
まさにその通りです。特にBtoCに関しては、その効果は計り知れないというか。そういう意味でもスタートはリアルビジネスがいいと思いますね。
ははぁ。BtoCをいきなりオンラインで始めるのは難しいと。
そうですねぇ。個人的な意見ですが、BtoCのオンラインはかなり難しいと思います。
じゃあまずはリアル店舗を構えることからですか。
そうですね。で、それが軌道に乗ってから、通信販売したりECで拡販したりといったデジタルビジネスをやっていくと。もちろんそのままリアルの店舗を増やしていくのもアリですよね。
そういえば、最近だと店舗はリアルなんだけど集客はオンラインで、っていうところも増えてますよね。だから昔みたいに人通りが多いところに店を出さなくても、口コミやグルメサイトで人が集まってくる。
そうですね。リアルのビジネスでもオンラインでの発信は大事です。弊社でもそこはすごくこだわっています。
なるほど。勉強になります。
対談している二人
倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表
株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に13店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。