その81 ほめられたい

いつの世もウケる鉄板のコンテンツのひとつに、
「海外からの日本の評価ネタ」があります。
ひと昔前にたくさん作られた「他国から見た日本のここがイケている」という
テレビ番組もそうですし、
国内で見向きもされない分野も海外で評価を受けたとなると
急にもてはやされるものです。
まあ、国内では公然の秘密(かつてこれほどこの言葉があてはまった事例があろうか…)
であった芸能関係の出来事が、海外経由で報じられた途端
大炎上するわが国でありますから、
この構造はいつまでも変わらないものなのかもしれません。

さて、ここ数年、その最たるもののひとつが
「大谷翔平すごいぜ」であるかと思いますが、
現在アメリカに在住している日本人、あるいは日本にいるアメリカ人が
それをネタにしているところをSNSでは何度も見かけます。
文化ギャップをテーマにしたコンテンツを作る方としても、
バズりやすいということでありましょう。

「日本でこれだけ騒がれているが、アメリカでどうなのか」という話、
結論、ほとんどの方は
「大谷なんてアメリカ人は興味ない。ていうか知らない」
と言っています。
しかし、それは彼が非アメリカ人だからということではなく、
単に現在のアメリカ社会でトップのスポーツといえば
ダントツでアメフトとバスケットであって、
野球は人気で遠く及ばないから、ということだそうです。

たとえば、わたくし個人的に相撲が好きなのですが、
最近大関に昇進したモンゴル人力士の話など前のめりに世間話に出したら、
「まあ相撲は知ってるけど、そんなん言われてもなあ……」
とちょっと困った顔をされてしまうようなものでしょうか。

大谷翔平がアメリカ社会で特別高名でないということ、
これはネットの俗語を借りれば「不都合な真実」であって、
活躍を報じるプロのメディアが自ら触れることはないでしょうが、
スポーツというジャンルのメジャー度の問題なのですから
まったくおかしなことではありません。

むしろ、昔ほどではないとはいえ
いまだ日本ではナンバーワンスポーツである野球で
すべてをやりつくして行った先の、
メジャーリーグベースボールという完全上位の存在ですら
アメリカではマイナースポーツ扱いという、
「スポーツ界そのものの圧倒的サイズの違い」
が本質であり、それ以上でも以下でもないのです。

強いておかしいといえば、
それは相手が他文化にもかかわらず、
「こういう形で認知されたい」となんとなく期待してしまう
日本社会の方なのかもしれません。

……ちなみに、最近大関に昇進したモンゴル人力士はなんと2人もいるんですよ!
この話、聞いてもらえます?

 

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著者自己紹介

「ぐぐっても名前が出てこない人」、略してGGです。フツーのサラリーマン。キャリアもフツー。

リーマン20年のキャリアを3ヶ月分に集約し、フツーだけど濃度はまあまあすごいエッセンスをご提供するカリキュラム、「グッドゴーイング」を制作中です。

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