第22回 リフォーム会社とリノベーション会社の違い

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第22回 リフォーム会社とリノベーション会社の違い

安田
前回のお話では、新築の工務店さんはフランチャイズで商品を仕入れて、見せ方や売り方をプロ人材と考えるのがいい、ということでしたけど。リフォーム事業をやっている会社さんの場合は、どういうプロ人材と組めば儲かりそうですか?

渡邉
まず前提として、リフォームって2種類あるんですよね。「リフォーム」と「リノベーション」なんですけど。
安田
ああ、リノベーションもよく耳にしますね。具体的にはどう違うんですか?

渡邉

例えばキッチンが汚なくなったりトイレが壊れたりした時に、それを取り替えるのがリフォーム。リノベーションは元の形に戻すのではなくて、よりよい状態に作り変えるイメージです。壁を取り去って間取りをバーンと変えたり。

安田
トイレをウォシュレット付きに変えるのはリノベーションですか?

渡邉
それぐらいだったらリフォームに入ると思いますね。コンセプトがある場合はリノベーションになるかもしれません。例えば何時間も漫画を読めるトイレ、とか(笑)。
安田
なるほど(笑)。何らかのアイディアとかイノベーションが入ってるものを「リノベーション」というんですね。それってなかなか難しいことだと思うんですが、けっこうどこのリフォーム会社もリノベーションって言っているような(笑)。

渡邉
そうですね(笑)。単なる大型リフォームをリノベーションと言っている場合も多いんですよ。本来は付加価値というか、何かしらの目的とか世界観を叶えるためのリフォームをリノベーションと言うべきなんですけど。
安田
リフォームとリノベーションだと売り方も違うんですか?

渡邉
ターゲットが違うので、売り方も全然違ってきますね。リフォームは基本的に50代60代の方をターゲットにしているので、メインの集客手法は新聞の折り込みチラシなんです。
安田
へぇ、新聞は40年ぐらい取ってないので、まったくピンと来ませんけど(笑)。

渡邉
もうちょっと研究しましょうよ(笑)。で、その新聞に折り込まれてるチラシに、「トイレ交換何十万円」とか「キッチン交換何十万円」とか、メニューが並んでいるんです。
安田
ははぁ。リフォームの場合は基本的には「交換」なんですね。
渡邉

そうそう。対してリノベーションは「初めて物件を購入する層」もメインのターゲットなので、Webマーケティングが主流なんです。若い方が築40年の戸建てを買って、1000万円以上かけてリノベーションする。そんなケースも増えています。

安田
なるほど。「あまりお金はないけど素敵な家に住みたい」という若者たちが、リノベーションを選択するわけですね。確かにその集客を折り込みチラシでやるのは違いますね。

渡邉
ええ、彼らのほとんどは新聞購読層じゃないので。中にはチラシでリノベーション商品をPRしているところもあるんですけど、若年層にはリーチできていない印象ですね。
安田

そうすると、リノベーションの方はWebマーケティングに強い人材を入れなきゃ駄目ってことですか。


渡邉
仰るとおりです。リノベーションを売るならWebマーケティング一択ですから。でも面白いのは、今後はリフォームでもWebマーケティングやSNSの時代になりそうってことです。
安田

ああ、50代60代もネットが当たり前の世代になってくるから、ですね。


渡邉
仰るとおりです。その年代の人はもう当たり前にスマホを持って情報収集してますから。
安田

なるほどなぁ。でも実際のところ、リフォーム会社さんで社内にそういう人材を確保できているところなんてあるんですか?

渡邉
規模感にもよりますけど、Webマーケチームを専業で置いている会社はまだまだ少ないですね。外注か、あるいは兼業でやってるケースも多いです。総務の人がSNSをやっていたり、営業の人が広告運用をやっていたり。
安田

今までのお話を聞いていると、リフォームの方はマーケティング系のイメージですね。一方のリノベーションは、まさにブランディングとかコンセプト開発のイメージ。「我々がやったらこういうリノベーションになるよ」という見せ方が勝負な気がします。


渡邉
確かにそこは大事なんですけど、そもそも新しいコンセプトを作れる社長さんじゃないと、リノベーションを専門でやるのは難しいというか。
安田
じゃあコンセプトメイキングができる会社以外は、皆リフォーム会社なわけですか。

渡邉
端的に言えばそうなりますね。リフォーム会社が広義的な意味のリノベーションもやってます、っていうことだと思います。
安田
なるほど。先週の新築の話と少し被りますが、コンセプトメイキングができる人を外から連れてきたらどうなんでしょうか。やっぱりそういう人は希少でなかなか見つからないんですかね。

渡邉

そうですね、まず見つけるのが大変だというのがひとつ。もうひとつは、外部の人間に作ってもらったコンセプトって、社長自身がそのコンセプトに強烈に賛同している場合を除いて、どうしても「借り物感」が出ちゃうんですよね。

安田
ああ、わかる気がします。それこそフランチャイズに加盟するのと変わらなくなってしまうと。要するに、自らコンセプトメイキングできないなら、リノベーション事業は諦めましょうってことですね。あるいは、コンセプトメイキングが好きな社員を探して、その人をトップに据えて別部署・別会社でやるとか。

渡邉

そうですね。実際、コンセプトメイクやプランニングが得意な人っていますから。でも難しいのは、社内でそういう人の立場が営業マンより低かったりするんですよ。

安田

ああ……なるほど。営業機能を軸にしたリフォーム会社が多いんでしょうね。

渡邉
そうですね。リノベーションをやろうと思ったときに一番重要なのは、そういう人材が育つ組織になっているかどうか、なんですよね。普通のリフォーム会社だと、プランニングできるような方は会社の文化に合わず、おそらく早々に辞めていってしまうので。
安田

ちなみに、もしそういう営業ゴリゴリのリフォーム会社から「リノベーションのプロ人材を紹介してくれ」って言われたらどうするんです?

渡邉
現実的な答えで言えば、個人で設計事務所を経営してるような方をご紹介するでしょうね。その人をクライアントの会社に投げ込むと言うより、普通に会社対会社の契約にしてもらうイメージです。
安田
ああ、なるほど。営業主体の組織にプロ人材を1人2人入れたところで、組織全体を変えるのは難しいだろうという判断ですね。
渡邉

仰るとおりです。正直なところ、リノベーション会社は企業体として拡大するのは難しいと思います。社員数50~60名で年商25億のリノベーション会社があるんですけど、そのくらいがマックスでしょうね。

安田
なるほどなぁ。じゃあ逆に年商100億にしようと思ったら、リフォームの方に行った方がいいんですかね。
渡邉
絶対そうですね。
安田
つまりこれからのビジネスとしてのうまみや規模拡大を考えると、リフォーム会社はリノベーションの方に舵を切らずに「徹底してリフォームに力を入れていきましょう!」ということですね。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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