第24回 人間は巨大な虫かごの中にいる。

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第24回 人間は巨大な虫かごの中にいる。

安田
鈴木さんって、宇宙はあると思いますか?

鈴木
え、はい。あると思いますよ。
安田
なぜそう思います? だって、見たことないじゃないですか。

鈴木
まぁ、そうですけど。地球がある以上、宇宙もあるんじゃないですかね。
安田
地球が本当にあるかどうかも、微妙ですよね。

鈴木
それは疑いだしたらキリがないと思いますけど……。今日は禅問答をやる回ですか?(笑)
安田
あはは、失礼しました(笑)。鈴木さんは人の死について考えるお仕事をされていらっしゃるので、宇宙の話にも大きなご興味をお持ちかなと思いまして……。

鈴木
なるほど、そういうわけでしたか(笑)。確かに「死んだら星になる」とか、昔から死と宇宙をつなげて考えることはよくありますね。
安田
そうですよね。ということで今回は「宇宙」をテーマにお話を進めてさせていただきます。先ほど「宇宙はあるかどうか」とお聞きしましたが、宇宙の中で私たちが認知できるのって、せいぜい太陽系くらいですよね。

鈴木
ええ、そうですね。
安田
でもその太陽系も、宇宙全体からみたらチリほどにもないくらい小さいわけで。そんなに小さい範囲の中で人類は、まだ月までしか行けていないと。

鈴木
宇宙規模で見たら、本当に微々たる移動距離ですね(笑)。
安田
仰る通りです。太陽系を東京都だとしたら、月まで行くというのは、自分の庭を通って玄関の門扉のあたりまで行った程度のことだそうですよ。

鈴木
まだ自宅の敷地すら出ていないわけですか(笑)。
安田
ええ。太陽系ですらその規模感なんだから、それが「宇宙」となると、もう想像を絶するような広さですよね。しかも人類にとっては、宇宙はもちろん、太陽系ですらまだ「未知」の存在なんです。

鈴木
ああ、なんとなく分かってきました。つまり安田さんは、そんな未知なる存在を「ある」と断言できるのか、ということが仰っしゃりたいんですね?
安田
そうなんです! そもそも「ある」とはどういうことなのか。そこから考えなくては。たとえばここにテーブルがある、ということは、その「テーブル」と「テーブルじゃない」ところに「境目」がありますよね。

鈴木
なるほど。境目で、「ある」と「ない」が分かれているということですか。
安田
はい。そう考えると「宇宙がある」というならば、「宇宙がない=宇宙の外側」も存在しないとおかしいと思いませんか?

鈴木
それはそうですが……宇宙の外側なんて全くわからない(笑)。
安田
ですよね? そこで私はこう考えるわけです。もしかすると私たちは宇宙の中の地球にいると思っているけれど、実は、巨大な虫かごのようなものに飼われているだけなんじゃないかって。

鈴木
虫かごですか? その発想はなかったなぁ(笑)。
安田
虫かごの中の虫は、ちょっと動いてもすぐにどこかにぶつかって、もうそれ以上先には何もないんだと考えると思うんです。つまり虫かごの外に広がっている世界の大きさについては理解できない。

鈴木
ほぉ。じゃあ僕たち人類も、地球から簡単に出られないから、きっと宇宙はすごく大きいんだろうなぁと思い込んでいるのかもしれない。そういうことですか?
安田
そうですそうです。さらに言うと、人類にとっての「虫かご」は「引力」なんじゃないかなと。だって地球上では横の移動は何百キロもできるのに、垂直の移動には制限がかかりすぎているの、不思議じゃないですか?

鈴木
確かに、数メートルの高さすら自力では上がっていけません。
安田
仰る通りです。だから私は「実は宇宙なんてなかった」という可能性を捨てきれないんですよ。虫かごの外は、知る由もないから。

鈴木
う〜ん、難しいなぁ(笑)。
安田
だってほんの数百年前の世界では、「地球は平らだ」って思われていたんですよ? 端っこのほうには滝が流れていて、この地面は下から象が支えているって信じられていたじゃないですか。

鈴木
確かに当時はそれが真実だとして、真剣に受け入れられていましたけど……。でも今はもうずいぶん科学も進んでいますし、宇宙の真実も解き明かされつつありますよ?(笑)。
安田
そう思い込んでいるところが、人間の愚かなところなんです。

鈴木
愚か、ですか(笑)。
安田
これから何百年後かはわかりませんが、いつか「地球は丸い」とか「太陽系がある」とか思っていた時代があったらしい、と笑われる時代が来るはずなんです。それを私は、ここで宣言しておきたいんです。

鈴木
安田さん、「地球は丸い、動いている」と言ったガリレオのような偉人になりたいんですね?(笑)
安田
そうです! 何百年も前に、「宇宙なんてものはなく、地球は巨大な虫かごだった」と真実を言い当てていた、安田という人物がいた。そうなりたいんです(笑)。

鈴木
そうなる日を楽しみにしています(笑)。

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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