第203回 自分のお店を客観的にみるために

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

商売には主観と客観、両方の視点が必要と言われます。
これについては私も非常に共感するところであり、これまで何度も自分の商売を客観視したことでお店の見直すべき点に気づけたという経験をしてきました。

でも、実際に客観視点で自分のお店をみるというのは口で言うほど簡単ではないですし、簡単じゃないからこそ多くのお店が客観視点を持てずに苦戦しているのではないかと思うのです。

そこで今回は20年ほど店舗商売を続けてきた私なりに、私が実際にやっている「自分の商売を客観視する簡単な方法」について書いてみます。


私が自分の商売を客観視する時にやっているとても簡単な方法。
それは客観の「客」を、「自分にとって大切な特定の人物」に置き換えるということ。
これだけです。

店舗商売であれば、「これから自分にとって大切な人がお店に来てくれる」と想定し、その人の気分になりきって、自分のお店を眺めてみる。すると今まで主観でしか見ることができなかった自分のお店が一気に客観的に見えるようになり、お店の改善すべき点に気づくことができるようになるのです。

こんな事を書くと、「具体的な顧客イメージを掘り下げて、その顧客視点で見るようにしても同じじゃないか」と思われる方もいるでしょう。確かにその方法でお店を客観視できるのであれば、それでも良いとは思います。

ただ、少なくとも私の場合は、どんなに顧客イメージを膨らませても、それはあくまで会ったことのない架空の人物であり、そのような架空の人物の視点で自分のお店を眺めるよりも、自分にとって大切な人の視点に置き換えた時の方が、はるかに強い客観視点を得ることができているのです。

客観視点というと「漠然とした誰か」の視点で物事を捉えようと考えてしまいがちですが、自分以外の誰かの視点で見ることで、自分の商売の課題を見つけることが目的なのであれば、その人物は感情移入がしにくい漠然とした誰かよりも、自分にとって大切な人を想定したほうが良い結果を得られると思うのです。

という事で、今回は簡単ではありますが、自分の商売を客観視するときに私が実践している事について書きました。私の経験が少しでも皆さんの商売の役に立てば嬉しいです。

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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