本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
2023年の私のコラムは今回が最後になります。
今年も読んでくれた皆さま、ありがとうございます。
今回は年内最後という事もあり、今年一年間に私のお店で感じられた変化から、来年以降の飲食店の方向性について考えてみたいと思います。
私のお店で感じられたお客さんの変化。
そう考えた時に真っ先に思い浮かぶのは「アルコール離れ」。
この現象についてはメディアなどでもよく触れられていますが、改めて私のお店の売上データを確認してみたところ、新型コロナ前の2019年と比べて、2023年のアルコール入りカクテルの出数は40%も減少しています。
これだけ見ると悲観的になってしまいそうですが、一方ではノンアルコールの出数が45%増加しており、併せて食事の出数も大きく伸びていることから、アルコール入りカクテルの減少分が他の商品に置き換わっていることが分かります。
「40%の変化」
こうして書き出すと確かに大きな変化です。
ただ、今からこの変化を振り返った時に難しいと感じるのは、40%の変化というものが一気に起きたわけではなく、2020年から2023年の4年間をかけて少しずつ変化している点であり、一日単位や一カ月単位だけで商売を見ていると、この小さな変化の積み重ねに気付きにくいということ。
同時に、新型コロナによる自粛が終わった2023年においてもアルコール入りカクテルの出数が減り続けているという事実は、アルコール離れという現象が一時的なものではなく、今後も続いていく可能性が高く、お店を経営する立場で考えるならば、アルコールの需要は減り続ける前提でお店作りを考えていく必要性があるということ。
2019年と比べると、私のお店は商品構成とメニューデザインが大きく変わっており、食事とノンアルコールが注文しやすくなっています。もし、2019年当時と変わらない商品で商売を続けていたならば、単純にアルコール需要が減った分だけ、お店の売上も落としていたような気がしてなりません。
一日単位や一カ月単位で売上を考えることも重要ではありますが、あまりに短期を重視してしまった商売は長期の変化に気付くことが出来ず、大きな流れに取り残されてしまう結果になってしまうのではないでしょうか?
日々営業している中で長期の視点で商売を考えるのは簡単ではありませんが、この年末年始というタイミングを利用して長期の大きな流れを考えてみれば、来年は今年と違った取り組みが見えてくるのかもしれません。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/