このコンテンツについて
なぜこんなツマラナイものにこだわるのだろう。そういう「ちょっと変わった人」っていますよね。市川さんはまさにそういう人。でもそういう人が今の時代にはとても大事。なぜなら一見ビジネスになんの関係もなさそうな、絶対にお金にならなそうなものが、価値を生み出す時代だから。凝り固まった自分の頭をほぐすために、ぜひ一度(騙されたと思って)市川ワールドへ足を踏み入れてみてください。
「実は、“期待させない”情報発信って大事」
今年、オフィスを移転する予定なので、場所は確定しましたが、内装デザインや家具・家電など、まだまだ決定していない内容もあって社内への告知は慎重になっていました。
年末、鍵を受け取って、その際に何もないオフィスの写真を撮影してきて、広報担当者とクラウドでシェアしました。
新オフィスの情報を社内に少しずつ発信していこうという企画で。
ところが、その広報担当者、「新しいオフィスです」とクラウドのURLをコピペして全社員にシェアしてしまいました(汗)
それを知って、「あぁ、やっちゃった・・・」と僕は冷や汗をかきました。
というのも、人って、情報を得ると、自分に都合よく解釈したり、誤解する生き物でしょう?
だから、社内向けとは言っても情報の発信には細心の注意を払う必要があるのです。(と少なくとも僕は思う)
例えばですよ・・・
オフィスにコーヒーメーカーを設置するという情報があったとします。
それを聞いた社員さんが、それぞれ勝手な解釈で一喜一憂し、勝手にガッカリして不満を感じることがあるということです。
Aさん:毎朝コーヒー買わなくて済むからラッキー♪
Bさん:コーヒーを飲まない人もいるのに、そんなところに費用を使って不公平だ。
Aさんは無料で飲めると勝手に思ったのか、「ラッキー♪」なんて言ってますが、「有料です」となれば、勝手に期待した分だけ失望し、会社に不満を持つかもしれませんね(汗)
また、Bさんのように思う人は、何かにつけて出てきますが、そもそも全体最適というのはあり得ません・・・
こうしたことを防ぐためにも、情報統制って大事なんです。
例ではたかだか、コーヒーメーカーですけどね(苦笑)
コーヒーメーカー設置の背景や運用ルールについて触れながら、情報を発信し、勝手な解釈が入る余地を制限しないといけません。
・・・あぁ、面倒臭い(苦笑)
これ、セールなんかで「50%OFF」という告知に条件をつけるのと基本的には同じですよね。
「赤色の値札の商品は…」「2点以上お買い上げの場合は…」「会員の方に限り…」のように、都合良い解釈をなされないように、受け取り方の幅を限定していく文言がありますよね。
こうした社外向けの発信には「限定(条件)」を意識することがほとんどですが、社内向けの発信となると不思議なことに疎かになってしまいます。
「働く環境の改善」と聞けば、「給与が上がる」と条件反射的に都合よく解釈する社員さんがいるのと同じですね(苦笑)
給与だけが、環境に関わるものではありませんから・・・
「会社の健康診断の際に10,000円までのオプションは会社負担にする」とかだったらどうでしょうか?
勝手に早とちりしたくせに、「そんなの求めてないんだよ!」って言いかねませんよね。
いやいや、案外自分で健康診断ってやらないし、案外大事でしょう(苦笑)
だから「働く環境の改善」というキーワードだけが社員さんの耳に入ることがないように、情報統制をしっかり取らなければなりません。
こんな風に書いている僕は、広報担当者がシェアしてしまった写真/動画を見た社員さんたちが、どんな都合の良い解釈をしてしまったか、怖いです・・・(汗)
著者/市川 厚(いちかわ あつし)
株式会社ライオンハート 代表取締役会長
https://www.lionheart.co.jp/
LH&creatives Inc.(フィリピン法人) CEO
https://lionheart.asia/
<経歴>
三重県の陶芸家の家に生まれる。
(僕が継がなかったので、父の代で終焉を迎えることになる…)
大学時代、遅めの中二病を発症。経済学部に入ったのに、何を思ったか「ファッションデザイナーになるんや!」と思い立ち、大学を中退。アパレル企業に就職。
ところが、現実は甘くなく、全く使えない僕に業を煮やした社長から、「Webサイト作れないとクビだからな!」と言われ、泣く(T_T)パソコンの電源の付け方も知らなかったけど、気合でWebサイト制作を習得。しかし、実際のところは、言い訳ばかりで全く成長できず・・・怒られて、毎日泣く(T_T)そんな頃、「デザインにも色々ある」と改めて気づいて、広告業界へ転職、広告制作会社のデザイナーとしてのキャリアをスタート。
「今度は言い訳をしない!」と決めて仕事に没頭し、四六時中仕事していたら、黒目がめくれ上がってきて、眼科医から「失明するよ」と言われ、ビビる。2004年勤務先で出会った同僚や友人を誘って起業、有限会社ライオンハートを設立(現 株式会社ライオンハート)。ところが、創業メンバーとあっさり分裂、人間不信に。残ったメンバーと再スタート。
2014年、設立10周年を機に、創業メンバーで唯一残っていた人間を日本法人の社長にし、自身は会長になり動きやすい状態を創る。この頃からブランディングエージェンシーを名乗り始める。
2016年、フィリピン(マニラ)にITアウトソーシング企業(LH&creatives Inc.)を設立。設立準備期間から家族とともに移り住み、フィリピンで3年半を過ごす。
フィリピン人マネジメントを通して、猜疑心の塊になり、性悪説に変わる。
2019年6月、日本に帰国し、日本法人のマネジメントに復帰。社内コミュニケーションを充実させるために席替えしたり、誰も掃除しない椅子をきれいにしたり、「眠いときはしゃべった方が良いよねッ」ってスタッフに話しかけながら仕事をするなど、独自のインナー・ブランディングの理論を実験していたところ、会社の調子が上がった。そもそもブランディングってなんだ?と思っていたところに、BFIの安田さんと出会い、勝手にご縁を感じてコンサルを受けてみる。そしたら安田さんに誘われ、2020年、anote konoteに参加することに。