庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第27回 お庭と駐車場の最適な関係
ええ、いずれのご依頼もありますね。お庭を駐車場に変える場合は、元々の駐車場の使い勝手が今一つだったり、駐められる台数を増やしたいというご要望が多いです。
なるほど。ちなみにそれも「造園のお仕事」になるんでしょうか?
ああ、確かに中島さんは「ただ単にコンクリートを張って駐車場を作る」なんてしないだろうと思いました(笑)。とはいえ、「お庭の良さを残しながら」というのはなかなか難しそうですね。具体的にはどうするんですか?
例えば、「駐車場をもう1台分だけ増やしたいから、庭の一部を使う」という場合があります。それを、単に庭の一部を削って駐車場にすると、どうしてもツギハギ感が出てしまう。ですから、仮に一部しか変えない場合でも、庭全体を見ながら再デザインするようにしていますね。
ありがとうございます。とはいえ、実は僕が修業していた頃から「駐車場を増やしたい」というご依頼は多かったんですよね。ですから今direct nagomiでお庭を設計させていただく際には、最初のご依頼よりも1〜2台増やすようご提案しています(笑)。
なるほど。「きっと後から増やしたくなるから」ということですね(笑)。ちなみにふと思ったんですが、例えば4台分の駐車場を作る場合に、2台ずつ2ヶ所に分けるのもありなんですか?
と言いますと?
たとえば4台分のスペースを一箇所に作ろうとすると、リビングの前などに車がドンと置かれているような形にせざるを得なかったりします。でも2箇所にわけることで、リビングからはお庭がキレイに見える形が実現できたりするので。
都会だと駐車場を別の場所に借りることも多いですけど、できれば自宅敷地内に置いておきたいものでしょうし。あれこれ考えて作らせていただいています。
ええ。さらに言うと、前の道が狭い場合などは、できる限り広めに作ることを提案していますね。ギリギリのスペースしかないと、毎日の車の出し入れが大変になってしまうので。
ああ、そうですよね。そういう地域だと、どこに行くにも車を使うことになりそうですし。毎回「ぶつけないかな…」と心配しながら車を出すのは大変そうです。
でも例えばですよ、新婚夫婦の2人暮らしだとすると、子供が生まれて車を運転するようになるまでは、2台分のスペースでいいわけですよね。そういう場合でも最初から3〜4台分作っておいた方がいいんですか?
そうですね。後から広げるっていうのは思った以上に大変なので。どのみち増やす必要が出てきますから。
そう考えるとやっぱり最初が肝心ということですね。家を建てる時には、しっかり将来を見据えた設計ができるところに相談した方がよさそうです。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。