第263回 2024年問題はもう足元まで来ている

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第263回「2024年問題はもう足元まで来ている」


安田

2024年に物流が大変なことになると言われ続けてきて。気づいたらもう2024年です。

久野

はい。これからどんどん大変になりますよ。

安田

運転手がいなくてバスを売却しちゃう会社があったり。ヤマトさんが宅配便を大幅に減らしたり。この先ドライバー不足はどうなっていくんでしょうか。

久野

業界再編がどんどん進んでいくと思います。その結果、企業が負担する物流コストはめちゃくちゃ上がるでしょうね。

安田

地方ではもうライドシェアを受け入れ始めているみたいで。競合になるはずのタクシー業界が率先して取り組んでいるそうです。

久野

それぐらいやらないと物が運べないし、人も移動できなくなっていきます。ドライバーの高齢化問題もあるし。地方のタクシー会社なんてもう人が採れないから。

安田

ライドシェアはありですよね。地域の中から「私が運転手やります」という人が出てきて、ちょっと大きめのバンを買って、みんなのドライバーとして生計を立てるとか。

久野

今までは法律的に難しかったですけど。もう受け入れざるを得ないでしょう。

安田

すごく理にかなっているし、お互いハッピーな気がするんですけど。

久野

そうですね。やりたい人はいるでしょうし。いいお客さんを捕まえて、時間帯とかを上手に工夫すれば、稼げる人も出てくると思います。

安田

地方ではそういうケースが増えていきますかね。

久野

タクシー会社の配車アプリをライドシェアで開放すれば、一気に増えていくと思います。

安田

なるほど。それはいいアイデアですね。

久野

はい。タクシー会社がライドシェアを後押ししているというのが、なかなか興味深いです。

安田

とはいえ会社の事業としては難しいですよね。採算の合わない場所は廃止されていきそうで。

久野

利益目的だと難しい地域は出てくるでしょうね。

安田

地元出身で「ここが大好きで顔見知りもいっぱい」みたいな人が、個人事業主やひとり法人としてやったら、そこそこ稼げると思うんですけど。

久野

はい。生活費ぐらいはぜんぜん稼げると思います。

安田

過疎地のバス会社も事業としては厳しいですけど、個人で中古のバスを1台買って「安田バス」みたいな感じでやれば。食べていけそうな気がするんですけど。

久野

そういう人が出てきたら面白いですね。

安田

それぐらいやらないと解決しない気がします。

久野

そこまで規制緩和するかどうか。思いっきり自由にしたら面白いですよね。

安田

今まで既得権益を持っている業界が反対してたじゃないですか。マーケット食われるってことで。でも業界としてもお手上げで。もう容認するようになっていくんじゃないですか。

久野

はい。いろんな抵抗はあると思うんですけど背に腹は代えられないので。

安田

一気に規制緩和しますか?

久野

日本の場合はまずグレーゾーンをどんどん認めていって、最終的に法律が変わっていく。という流れがあるんです。

安田

へえ〜。そうなんですね。

久野

ライドシェアもグレーゾーンを放置して「まあいけそうだな」となったら広がっていくと思います。

安田

もし規制緩和されたら、地方の交通問題はこれで解決するかも。

久野

そうですね。ただ国としてはもうひとつやらなきゃいけないことがありまして。企業間の物流ですね。ここがもっと深刻なことになっていきます。

安田

そんなに深刻なんですか。

久野

はい。小さな会社同士の物流が止まるとものが作れなくなります。A工場からB工場まで部品が運べないとか。

安田

荷物を積むまでの待ち時間が長すぎるみたいで。ヤマトさんに是正勧告が出てました。これからはトラックGメンが厳しく取り締まるそうです。

久野

待ち時間はコストとして入ってなかったので。これからは思いっきり費用に跳ね返ってくるはずです。

安田

つまり値上げということですよね。実質的には。

久野

はい。間違いなく上がります。お金を払って、ある程度の量も出せないと、もうトラックが来なくなる。

安田

小さな会社はどうすればいいんですか。

久野

「2日に1回しか運べません」とかなっていくでしょうね。たぶんダイナミックプライシングに近い値段になると思います。「いくらなら今すぐ運べます」みたいな。

安田

中小企業は大変なことになりますね。

久野

消費者の物流問題ばかりが取り上げられますけど、先に値段が上がっていくのがBtoBだと思います。もうすでにコンビニでも乾き物の配送回数が減ってるんですよ。

安田

そういえば近所のスーパーの欠品が増えました。そういう理由だったんですね。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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