第87回 「人手不足」と「空き家問題」を同時に解決する方法

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第87回 「人手不足」と「空き家問題」を同時に解決する方法

安田
確か以前の対談の中で、鈴木さんが住まれている美濃加茂市にも外国の方が多く住んでいると仰っていましたね。どうでしょう、今後も日本全体で移民は増えると思います?

鈴木
増えるでしょうね。日本は海外に比べて治安はいいし、街中にゴミも落ちていないし、仕組みも整っていて住みやすいと思いますもん。たぶん一度でも来日したら、日本のことを悪く言う人はいないんじゃないかなぁ。
安田
そうですよね。一方で、これから日本人の人口は間違いなく減っていきます。人材不足はますます深刻になるわけで、そういう意味でもより多くの移民を受け入れていかざるを得ないのかなと。…ちなみにどの国からの移住が多くなるんでしょうね。

鈴木
東南アジアだと思いますよ。母国よりも日本で稼ぐ方が、格段に高い収入が得られるはずなので。
安田
なるほど。じゃあヨーロッパやアメリカのように、日本より裕福な国からは移住してきませんかね?

鈴木
うーん…いるとは思いますけど、彼らはどちらかというと「ライフ」のために移住するイメージですね。日本で稼ぐというよりは、日本の生活をエンジョイするというような。
安田
なるほどなるほど。で、いずれにせよ必ず必要になるのが「住む場所」じゃないですか。鈴木さんがやられている「空き家ビジネス」も、今後、外国人との取引が増えるんじゃないですかね。

鈴木
それは僕も思っています。以前もお話したように、すでに外国の方に住宅をご紹介していますし、ついこの間2軒目の仲介も決まりましたので。
安田
やはりそうですか。空き家って要は「中古」なわけで、新築にこだわる日本人より、中古住宅が当たり前の外国人の方が受け入れやすい気もします。

鈴木
そうなんですよ。多少ボロい家でも、仲間たちとDIYしながら住んでくれますし(笑)。あとは空き家につきものの「残置物」…いわゆる前の住民の方が残していった家具とか家電なんかも、そのままでいいって言ってくれるんですよ。
安田
使えるものはそのまま自分たちで使うから、ですか?

鈴木
そうそう。ついでに売れそうなものは自分たちで売っちゃう(笑)。
安田
なるほど(笑)。そう考えると、日本が移民を受け入れることで「人口問題」と「空き家問題」が同時に解決できて、一石二鳥のような気がしてきました。

鈴木
確かに確かに。人口が少なくて労働人口が減っている地方だと、より有効的かもしれません。
安田
そうですよ。…いま思いつきましたが、こんなのはどうでしょうか? 日本に移住してくれた人には、地方自治体とか国が「空き家と100万円」を渡すんです。このお金で空き家を修理しながら好きなように住んでいいですよ、って。そしてその家に住みながら、人手不足で困っている中小企業で働いてくださいね、と。

鈴木

ふむふむ。いっそのこと企業が「ウチの会社に来てくれたら、家も付いてくるよ」と誘致してもいいかもしれないですね。

安田
いいですねぇ〜。そういう企業と鈴木さんの「空き家ビジネス」とでタッグを組めば、「働き口」と「住居」が一度に確保できる。これは移住者にとっても大きな魅力になりますよ!

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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