リミッターを解除せよ

陸上男子100メートル競走で達成不可能と言われていたもの。それが10秒の壁である。だがその壁はカール・ルイスという、たった1人の選手が9秒98の記録を出したことで消え失せた。今や男子100メートル決勝での9秒台は見慣れた光景だ。すべての陸上選手の脳内でリミッターが解除されたのである。

日本人の平均年収は400万円台。これは先進国最下位の数字である。なぜ日本人の年収はこんなにも低いのか。能力が低いからか。努力や勤勉さが足りないからか。それとも国の政策が悪いからか。私はどれも違うと思う。年収が増えない最大の理由。それは日本人の脳内リミッターが解除されていないから。

お金を稼ぐことが大変だと考えている人があまりにも多すぎる。1000万円稼げる人などほんの一握りのエリートだけと信じ込んでいる。つまり自分の脳に「稼げない」というブレーキをかけているのである。これは労働者に限った話ではない。多くの中小企業経営者も「稼げない」というブレーキを踏み続けている。

お金を稼ぐことなどチョロい。1000万円程度は誰でも真面目にやれば稼げる。今の3倍の利益を上げて2倍の給料を払うことなど簡単だ。このように考える国民や経営者が大多数を占めれば、日本人の平均年収は1000万円を超えていく。そんなバカなことがあるものかと感じる人は洗脳されているのである。

これほどの基礎教育と、これほどの勤勉さと、これほどの気遣いができる国民が、なぜたった1000万円程度を稼げないと思うのだろう。確かに1億円は簡単ではない。だが1000万円は簡単だ。時給千円の人が三千円になればいいだけ。時間当たりたった二千円の付加価値を付ければ年収は3倍になるのだ。

こういう話をすると「仕事を舐めちゃいけない」と言い出す人がいる。私は別に舐めているわけではない。「難しい・達成困難」という思考で取り組むか、「簡単・チョロい」という思考で取り組むか。それで結果が大きく変わると言いたいのである。2倍儲けることなどチョロい。ぜひ経営者にはそう考えてほしい。

重要なのはリミッターを外すこと。10%利益を増やすとか、10%給料を上げるとか、そんなみみっちい発想は捨てる。それはすべて「無理だ・難しい」という洗脳によるものだ。どんな商売をやろうが、どんな売り方をしようが、どれだけ儲けようが、経営者は自由なのだ。それを決して忘れてはならない。

 

 

 

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