第93回 絶好調なベニエ屋さんの、小さな悩み

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第93回 絶好調なベニエ屋さんの、小さな悩み

安田

中辻さんのベニエ屋さん『コビトベニエ』はどうですか? 相変わらず絶好調ですか?(笑)


中辻

そうですね(笑)、ありがたいことに忙しくさせてもらっています。

安田

ちなみに売上目標とかって決めていらっしゃるんですか?


中辻

1日10万円以上を目標にしています。なので月に250万円くらいですかね。

安田

1日10万円ですか。それを達成するにはベニエを何個売ればいいんですか?


中辻

ベニエ6個で750円なので、1日130セットくらいですね。

安田

ふむふむ。実際の売上はどんな感じですか? 正式オープンからもう1ヶ月ほど経ちましたけど。


中辻

土曜日なんかは1日で12万円、13万円は売れているので、もう達成できています。平日はまだちょっと頑張らないといけない日もあるんですが…それでも目標に近しい数字には到達してますね。

安田

いやぁ〜すごいな。じゃあ、当初の経営計画通り順調にきていると。


中辻

そうですねぇ…数字に関しては、オープン直後でオペレーションがままならない中でよくやっているとは思うんですが…。

安田

ほう…なにか他に不安要素でも?


中辻

不安というか、いろんなイベントに向けた企画を練っていかないといけないと思っていて。だけど圧倒的に人が足りていなくて、思うように進められていないんですよね。

安田

ふ〜む、イベントの企画ですか。


中辻

ええ。クリスマスとかバレンタインとかホワイトデーとか。そういった季節柄のイベントや大型連休などのタイミングで、期間限定メニューを販売したいんですよ。

安田

なるほどなるほど。ちなみに先月のクリスマスの時はどうしたんですか?


中辻

「クリスマスセット」というのを販売したんです。でも予約開始したのがクリスマス本番の10日程前で。試作したりキレイに写真を撮ったりInstagram用に可愛く加工したりしていたら、全然時間がなくなっちゃいまして(笑)。

安田

そうなんですね(笑)。やっぱりそういうイベントを組み込まないと、お店の売上は上がっていかないんでしょうか?


中辻

いや、そんなことはないと思うんです。でも、通常メニューだけだと飽きられてしまうかなぁと思って。例えば売れているトップアイドルとか有名アーティストでも、ヒット曲ばかり歌い続けていたら飽きられちゃうじゃないですか(笑)。

安田

なるほどなるほど。お客さんの心を離さないためには、新しいものをどんどん出していかなくてはいけない、と。


中辻

もちろん「定番商品がちゃんと人気」というのが前提ですが、その上で新商品や期間限定商品も重要だなと。だから新商品の企画やイベントごとは積極的にやっていきたいんです。

安田

ふむふむ。でもそれを実現するには、人手が足りないというわけですね。


中辻

そうなんですよ。今って、商品の品質チェックやキッチン周りのことは私、お店全体を管轄するのはマメノキカンパニーの部下なんですが、現場のスタッフの子たちもまだ慣れていないので、私たちが現場で研修やOJTをしないといけないことが多くて。そうすると、企画やブランディングに割ける時間がどんどん減ってしまうんですよね。

安田

あぁそうか。研修業務に忙殺されちゃって、ディレクションする時間がなくなっちゃうわけだ。


中辻

仰るとおりです。だから店舗を統括して見てくれる子や、ブランディングや企画・広報をやってくれる子が絶対必要だなと思っているんですけど、なかなか簡単には見つからないじゃないですか。

安田

元々の経営計画では、1号店をセントラルキッチン的に使いながら多店舗展開して、いずれは全国に展開するというお話でしたよね。ブランディングやイベント企画といった計画が整ってから多店舗展開するんですか? それとも先にお店を増やすことで人を増やす計画でいきます?


中辻

難しいですよね〜(笑)。例えばマクドナルドさんって、2週間に1回くらいの頻度で限定メニューが変わっていくじゃないですか。あれって全国に店舗がたくさんあるから時間や費用をかけて限定メニューを企画する利点があるわけで。でもうちみたいに1店舗だけだと企画する時間や費用もあまり使えないんですよね…。そういう意味でも、ウチも2号店・3号店を出していくのもいいのかなと思いつつ…やっぱり勇気がいりますよね(笑)。

安田

そりゃそうですよね。複数店舗になったことで、今よりさらに忙しくなって、どうしようもなくなってしまう可能性だってありますもん。


中辻

ええ。とはいえ、飲食業だと最終的に残る利益ってどうしても薄くなるじゃないですか。だからこのベニエ事業をウチの会社の「別柱(べつばしら)」のビジネスにするためには、多店舗展開っていうのは必須だろうなとは思っています。

安田

いずれにしても今は人手不足なわけですね。…とはいえ、優秀な人材を見つけて採用するのもなかなか大変だし。


中辻

そうなんですよ。ともあれ、オープンして1ヶ月ちょっとしか経ってない中で、みんなどんどん成長してくれていっているのは確かで。そういう意味ではあまり焦らず、1店舗目でしっかり結果を残していきたいと思います。

安田
なるほどなぁ。私個人的には、3店舗くらい展開した上で中辻さんがどういう経営をされるのかっていうのを見てみたいなと思っているので(笑)。今後の展開、期待しています!

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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