“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。
第83回 「生まれ育った場所には出店しない」のはなぜ?

「経営はギャンブルじゃない」というより、「経営の中にもギャンブル性が高いものと低いものがある」という感覚ですかね。僕も起業当時は、人もいなくて資金もない、その上商品も定まっていない、という状況だったので、どうしたってギャンブル性が高くなる。経験も仕組みも足りない中、毎回「えいやっ」と判断するしかないというか。

ああ、なるほどなるほど。確かに仰るとおりかもしれません。でもお店の導線や配置も細かく計算している倉橋さんでも、起業当時はそういう感じだったんですね(笑)。

もちろんそうですよ(笑)。今思えば本当に感覚で経営していましたね。あれからいろいろな経験を積んで、今でこそだいぶ科学的な判断ができるようになりましたけど。でも一方で、動かすお金が大きくなればなるほど、ギャンブル性というかリスクは上がりますよね。

ああ、確かに。経営で一番お金がかかるのは「人」だとよく言われますけど、給与や社会保険料を支払うというお金のリスクに加え、その人が問題を起こすリスクや、突然辞めちゃうリスクまで背負うことになりますから。

それはそうですね。宝くじのように、当たり外れにこちらが一切関与できないものとは違う。そう考えると、経営者よりもむしろ会社員の方がギャンブル性が高いのかもしれません。何しろ、基本的には「経営者の判断には関与できない」わけだから。

ふ〜む、確かに言われてみればそうですね。会社のトップがどんな判断をするかで、人生が大きく変わってしまうこともあるわけで。経営者は、事業内容も働く場所もある種自由に変えていけるわけで、結果に対しての関与度はかなり高い。

そこはキチッとすべきでしょうね。たとえ黒字でも、継続の基準を満たしてなければ閉店する。それくらいの覚悟が必要だと思います。「損切り」の決断って一番難しいんですが、それができるかどうかが、経営をギャンブルにするかどうかの分かれ目なんじゃないでしょうか。
対談している二人
倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表
株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。