第344回「現場に近いほど儲かる時代に」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第343回「若者は仕事を選びたい放題」

 第344回「現場に近いほど儲かる時代に」 


安田

ホワイトカラーの数が今の10分の1以下になっていくと?

石塚

もう間違いないと思います。

安田

AIの活用による省人化ですか。

石塚

おっしゃる通り。オフィスワークはAIを使いながら10人分、100人分の仕事を1人でこなす時代になりますよ。

安田

ブルーカラーの仕事は増えていくイメージですか?

石塚

エッセンシャルワークという言い方になっていますけど。増えていくと思います。

安田

そのエッセンシャルワークも当然AI化とかロボット化していくと思うんですけど。

石塚

現場から人がいなくなることはまだ当分ないと思います。逆に現場感のない仕事は弱いです。

安田

現場感のない仕事とは?

石塚

要するに会議ばっかりやって、提案書を書いたりとか、資料整理したりとか。本社でやってる人たちはいらなくなるってことです。

安田

そこが一番代替しやすいと。

石塚

はい。逆に現場やってきた人は60過ぎても稼いでいけます。

安田

オフィスワークと現場仕事の報酬が逆転する可能性もありますか?

石塚

逆転するというよりオフィスワークの人材はほぼ要らなくなる。現実的に現場仕事を身につけないと食べていけなくなりますよ。

安田

現場仕事って収入が低いイメージですけど。

石塚

これからどんどん上がっていくと思います。逆に「私立文系ノースキル型」は稼げなくなっていく。文系だと技術も専門性もないから。そこの求人が急激に萎むんです。

安田

それっていつ頃の話ですか?

石塚

もう始まってますよ。

安田

なんと。何百万も奨学金を借りてゲットした学歴なのに。

石塚

20代は人手不足でちやほやされるからいいんだけど。30代、40代になると話しが違う。

安田

入口は甘いけどだんだん厳しくなると。

石塚

コンサル系に入った人とかもバンバン辞めてますよ。

安田

なぜ辞めるんですか?

石塚

残れる人が少ないですから。営業ができて提案もできてクライアントと話つけてって人がほとんどいない。

安田

残る人には現場スキルが求められるんですね。

石塚

そうです。営業部長でもプレイングじゃないと転職できない時代なので。

安田

単なる管理職ではダメだと。

石塚

管理職なんて1人いれば充分だから。それよりも現場力ですね。泥臭くお客さんと繋がっていたり。

安田

いまだにそんな営業するんですか?

石塚

今だからこそ人間関係が大きいと思います。ホームページの問い合わせから営業メールが来ませんか?

安田

たくさん来ます。見たくもないです(笑)

石塚

あんなのに会いたいなんて思わないでしょ?

安田

思わないですね。あれが送られてきた時点でもうアウトです。どんなに良いサービスでも「ここと付き合うのはやめよう」と思ってしまう。

石塚

ですよね。だけど友人知人の紹介で「面白い人がいるけど会ってみない?」って言われたら会いませんか。

安田

会うでしょうね。そういう意味では人の繋がりは大きいです。

石塚

だから信頼をベースにしたネットワークを持っている人は強いわけです。泥臭いけど強い。

安田

なるほど。

石塚

営業に限らず、とにかく現場は強いんですよ。

安田

「現場は稼げない」というイメージでしたけど。そこも変わっていくんでしょうか。

石塚

これからガンガン上がっていきますよ。

安田

下請けは厳しいって言われますけどね。値上げもできないし。

石塚

ちゃんとした現場を抱えている会社は逆に強いですよ。建設関係でもゼネコン一強の時代はもう終わりです。仕事を受けてもらえないと工事ができないので。

安田

下請けなのに断ったりできるんですか?

石塚

現場の人不足ってすごいんですよ。「ごめん。忙しいから受けられない」って断っても必ず「いや、言い値でいいから」となります。

安田

「断るならもう仕事は出さない」「他にいくらでもあるから」みたいな感じだったじゃないですか。

石塚

A社に断られ、B社に断られ、気づいたらもうどこも受けてくれない。現場を受ける会社が「あそこはダメだよ」って逆に評価し始めてます。

安田

受ける側が仕事を選べる時代なんですね。

石塚

選べるし価格も強気に設定できる。現場に強い人材を集めた会社が勝つ時代なんです。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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