第69回 無人島サバイバルに学ぶ、「生き延びる経営者」の条件

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第69回 無人島サバイバルに学ぶ、「生き延びる経営者」の条件

安田

昔から「無人島で生き延びるのは、どんなタイプだろう」と経営者仲間と話しているんですが、今日は藤原さんの意見を聞いてみたいなと。


藤原

へぇ、それは面白そうですね。無人島って究極のサバイバルじゃないですか。

安田

そうなんですよ。だから「体力があって強い人が生き残る」と皆言うんです。私は体力もなければプレッシャーにも弱いので、いつも「一番先に死にそうだ」と言われていて(笑)。でも本当に生き延びるのに必要なのは体力ではないんじゃないかと。


藤原

確かに私もそんな気がします。魚を捕る技術や水を確保する知識も必要ですし。

安田

そうそう。そこを突破しないと最初の数日で息絶えてしまいますからね。ただ長期的に考えると、1人で生き続けるには「気力」が一番大事なんじゃないかと思うんです。例えば好奇心旺盛で、1人でゲームを考えて遊べるような人とか。


藤原

ははぁ、なるほど。確かに「生きることを楽しめる」という素質は、サバイバルにおける大事な要素かもしれませんね。

安田

私も「最初の2日しかもたない」なんて笑われてましたけど、逆にその2日さえ乗り越えれば、むしろ皆より長生きするような気がして(笑)。体力も大事ですけど、それ以上に「その後の長い人生を1人でどうやって生きていくか」。そっちの方が重要なわけで。


藤原

確かに。長い期間を生き抜くとなると、ただの体力勝負じゃないですからね。気力が尽きないようにするには、精神的な支えも必要ですし。

安田

そうそう。例えば「家族の元に帰らなきゃ」とか、「誰かに会いたい」とかね。


藤原

ああ、それでふと思い出したんですが、戦後に30年以上ジャングルで生き延びていた小野田寛郎さんっていましたよね。あの方も「使命感」が支えだったと思うんです。まだ戦争中だと信じながら、任務を全うしようとしていたわけで。

安田

なるほど。つまり「何のために生きるのか」という強い軸が必要なんでしょうね。人間社会でも同じですよね。水や食料が十分にあっても、生きる理由がまったくなければ生きていけない。


藤原

ええ。そういう意味では、「生きているだけで楽しい」と思える人は強いですよね。…こういう話をしていると、資本主義社会で経営者が生き抜く姿と、無人島での生存が重なって見えてきます(笑)。

安田

笑。実際社長さんってエネルギッシュな人が多いですからね。


藤原

ええ、本当に。無人島でも生き残る確率は高そうな気がします。ただ、現代社会でお金だけをモチベーションにしてるような人は、どこかで心が折れてしまうかもしれませんね。楽しさややりがいがないと、続かないですから。

安田

同感です。名声や部下の数など「他者ありき」の満足感を頼りにしてると、社会がなくなったときにポキッと折れちゃう。自らの中に「頑張って生きる理由」を持っている人の方が、無人島でもしぶとく生き残る気がします(笑)。


藤原

そうそう(笑)。やっぱり「内側から湧く目的意識」を持ってるかどうかが大事ですよね。

安田

ちなみにもし藤原さんが無人島に取り残されて、最低限生きるための食料や水が確保できたとしたら、そこから何をして過ごします?


藤原

うーん、そうですねぇ。外の世界がある前提なら、何とかして繋がろうとするでしょうね。

安田

ああ、なるほど。確かにどこかに繋がれる人がいるならそうしたいですよね。逆に言えば、そういう他者がまったく存在しない世界だったとしたら、それでも生き延びたいと思うんですかね。


藤原

うーん、それは究極の孤独ですね。さすがにその状況で「生き残りたい」という欲求は湧かないのかもしれない。でもどうだろう、「本当に1人なのか?」という問いを自分に投げかけ続けるんじゃないかな。そしてもし本当にそうなら、記録を残すとか、痕跡を作るとか……

安田

ははぁ、なるほど。最後の人間として「何かをしなきゃ」って責任感も芽生えるのかもしれませんね。ボーリング場で遊んで終わり、なんてわけにはいかないですから(笑)。


藤原

そうですね(笑)。その中で何かを成そうとするか、ただ流れに身を任せるかで、その人の本質が出る気がします。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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