この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第112回 中小企業の採用難を救うのは、大学中退者?
第112回 中小企業の採用難を救うのは、大学中退者?

まさにそこが不思議なんですよ。実際「Fランク」と呼ばれる無名大学からは、大企業や有名企業に就職するのはほぼ無理なわけですよ。

そう、だから結果的に彼らは中小企業のどこかに就職する。でもね、逆の視点で考えれば、中小企業側にとっても「有名大学以外の大学生を採用すること」にどこまでの価値があるんだろうと。鈴木さんも先ほど「そんなの意味ないんじゃない?」と言ってましたけど。

まぁねぇ。もっとも、ウチに関して言えば採用面接する時には高卒だろうと大卒だろうとたいして気にしてないんですよ。大学の名前も一応は見ますけど、それで何かを判断することはない。大学中退でも、いい人だなと思えば同じ条件で採用しますよ。

私はアメリカの大学に行ったんですが、その理由が「日本の大学は入るのが大変だけど、アメリカの大学は入るのが簡単だから」だったので(笑)。どうせ苦労するなら、先延ばしにしたいと思ってアメリカに行ったんです(笑)。その代わりアメリカの大学は卒業するまでがめちゃくちゃ大変でしたけど。

そうなんです。となると、「入学した時点の能力や努力」が高ければ、別に卒業したかどうかはあまり関係ないのかなという気もしていて。ところが今の日本は新卒一括採用が主流なので、大学中退した人はなかなか厳しい就職活動になってしまうんですよ。

「大卒よりも給料が高いの?!」ってみんなびっくりしちゃうでしょうね(笑)。まあ確かにせっかく能力はあるのに、家庭の事情なんかで進学を断念せざるを得なかった人もいるでしょうからね。そういう「高卒・中退者」の方が、たいして勉強もせずに大学に入って、4年間だらだら過ごした「大卒」よりもはるかに優秀な人材に育ってくれるのかもしれない。
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。