人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第120回 AIが奪えない「考える」という人間の営み

そうそう。私は昔から書くことは包丁の砥石みたいなものだと思っていまして。自分の頭で考えて自分の言葉で文章を書くのは、脳みそを研ぐような行為なんじゃないかと思っているんですね。職業として残るかどうかとは別に、自分のためにやるものだと。

いやぁ、まさに同じことを考えていました。私は毎日何千文字も書いていますけど、考えが全部まとまってからアウトプットするんじゃないんですよ。書きながら考え、考えながら書くプロセスの中で、自分が進化したり新しい思考が生まれたりする。

書かないと活性化しない部分が脳の中にあるんでしょうね。わからないことも書きながら「そういうことかもしれない」と気づくことってありますから。考えが先にあって文章にするんじゃなくて、文章にするから考えが生まれるという。

そうなんです。だからAIに完成品を作ってもらうと、そこに自分がいないから思考が磨かれない。読んでくださる方にも、知識として「ふーん」で終わるんじゃなくて、脳が揺さぶられるような文章というか。はっきり結論は出ないけど何かぐっと残る。それが人間らしさなのかなと。

私も同感なんですけど、いずれAIは外付けの脳みそとして、記憶だけでなく思考も代行するようになるかもしれないなと思っていて。覚えなくても調べればいいという人が出てきているように、考えなくても答えをもらえばいいという人が必ず出てくる。

そうなると人類は二極化していくんじゃないかと。考えることを選択する人と、考えることをやめた人。私が動画より音声に力を入れているのはまさにそこにあって。

ええ。音声って映像がないので、小説と映画の違いと同じで、自分の頭の中で情景を作っていかないといけない。難しい本を動画にするととてつもない長さになりますけど、文字や音声は自分の中で組み立てることができる。考えることを選択した人のメディアだと思うんです。

そうそう。とはいえ「物語を自分の頭で映像化できない人」はこれから増えていくと思いますけどね。動画は見られるけど、本を読むことができないって人がもう出てきていますから。使わなければ脳は衰えますので。

確かにそうですね。ただ仕事のパフォーマンスだけで見れば、AIを使いこなす人の方が高いのかもしれない。企画書は数倍のスピードで作れるでしょうし。二極化しても、どちらにもそれぞれの役割があるのかもしれませんね。

会話がかみ合わなくなって、違う言語の外国人と話しているみたいになっていくんじゃないかと。逆に言えば、考えている外国人の方が話が合うようになるのかもしれない。言語ではなく思考で人類が分かれるというのが私の予想です。

いやぁ、ワクワクしますね。しかも私たちが生きているうちに答えが見えてくるわけで。考えることはやめられないし、そういう人と話していると本当に刺激的で楽しい。AIがあると答えを急いでしまうんでしょうけどね。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















