第157回 日本人は金持ちなのか、貧乏なのか

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第157回 日本人は金持ちなのか、貧乏なのか

安田
先日、日本の家計の金融資産が過去最高になったってニュースになっていましたが、鈴木さんもご覧になりました?

鈴木
あぁ、チラッと見ましたよ。なんだかすごい金額になってるんですよね?
安田
ええ。去年の年末時点で2,351兆円だそうです。

鈴木
2,351兆円…全く想像つかない金額だ(笑)。それ、ほとんどが預金なんですかね。
安田
現金・預金の残高は1,140兆円だそうなので、だいたい半分ですね。

鈴木
ということは、残りの半分は株なんかの投資に回っているわけか。
安田
そうでしょうね。最近はNISAをやっている人も増えていますから。

鈴木
なるほどなるほど。それにしても2,351兆円って、数字を見るとものすごい金額ですけど、実際のところはどうなんでしょうねぇ。一部の人だけに集中しているような気もしますけど…(笑)。
安田
確かにそれは言われていますよね。平均年収はどんどん上がっていますけど、中央値でみると400万円台前半で止まっていますし…。

鈴木
そう考えると、結局のところ、日本人は金持ちなのか貧乏なのかわからんくなるね(笑)。
安田
いや、本当に(笑)。ちなみに鈴木さんはどう思われます?

鈴木
うーん…例えば海外で「貧乏」っていうと、その日1日を生き抜くのすら難しいといったイメージですけど、日本ではそこまでになることって少ないですよね。
安田
確かに。日本はセーフティーネットもしっかりしていますし。

鈴木
そうそう。お金のない人たちが身を寄せ合っているスラム街みたいな場所も、日本にはないですもんね。
安田
そもそも日本人って、貧乏だと言いつつ、新品の綺麗な服を着て、外食をして、たまに旅行もできるような生活を送っているわけですよ。…そう考えると日本人は金持ちだという気もしてきました(笑)。

鈴木
とはいえ「金持ち」と言われると、「そうかぁ?」という気にもなりますけど(笑)。
安田
笑。でも最近は、東南アジアの人たちにとっても日本は「働く場所」ではなく「お金を使いに来る場所」になりつつあるそうですよ。

鈴木
安くて質のいいモノを買えたり美味しい食事を食べたりはできるけど、お金を稼げる国ではないって思われているわけですね。
安田
ええ、「いい国」ではあるけど「豊かな国」ではない、と。…とは言え、実際には資産が2,351兆円もある。このギャップは何なんでしょう?

鈴木
うーん、いろいろ要因はあるんでしょうけど、やっぱり貯蓄から投資に移行していることが理由な気がしますね。実際の資産が増えていると言うより、データ上の金額だけが勝手に増えているような。
安田
確かに確かに。日本人は手堅い投資をするから、年に5〜6%くらいは増えていくでしょうし。

鈴木
そうそう。でも不思議なのが、これだけ多くの人がある程度の貯金もあって、一定レベルの生活水準を保てているのに、なんとなく不安を感じている人がいっぱいいるってことですよね。
安田
本当ですね。でも今の若者世代を見ると、私たち世代よりもずっと堅実だと思いませんか? 若いうちからしっかり貯金もしているそうですよ。

鈴木
それはきっと僕らの世代の失敗…というか、大変そうな姿を見ているからじゃないかな(笑)。
安田
そうかもしれない(笑)。最近は初任給で40万円も出す会社も出てきましたけど、そもそも今の若い人たちは全然無駄遣いをしませんよね。

鈴木
物欲自体がなくなっているんじゃないですかね。車も時計も興味ない、みたいな。
安田
我々の世代は、少ない給料の中からローンを組んで車を買ったり、いいスーツや靴や腕時計を買ったりして、とにかく背伸びしてお金を使ったじゃないですか(笑)。でも今の時代は「リーズナブルでオシャレ」っていうのが一番好感を持たれるみたいですからね。

鈴木
それで言うと、最近、若い人で「ガツガツした人」ってあんまり見かけませんよね。
安田
確かにそんな若者、とんと見なくなりましたね(笑)。「大金持ちになって有名になってやる!」みたいな人はほとんどいないし、仮にいたとしてもめっちゃ浮いている(笑)。

鈴木
そうそう(笑)。そういう生き方はカッコよく思われなくなっちゃったというか。他人より抜きん出て妬まれてしまうくらいなら、今の居場所や仲間を大事にしておきたいって思っているのかもしれないですね。
安田
がむしゃらに働いてガンガン稼ぐより、プライベートを大事にして安定して暮らせる方がいいと。

鈴木
そういうことでしょうね。金持ちでもないけど、貧乏でもない。そんな生き方を望む人が増えてきているような気がしますね。
安田
なるほどなぁ。それがこれからの日本人の新しい幸せのカタチなのかもしれないですね。

対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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