第82回 「答え」は外側ではなく内側にある

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第82回 「答え」は外側ではなく内側にある

安田

現状人間は月まで到達できているわけですが、イーロン・マスクが「火星まで行くぞ!」と言って頑張ってますよね。世間的には「そんなことできるわけない」と思っている人も多そうですけど。でも宇宙全体で見ればね、火星なんてすぐそこなわけですよ(笑)。


藤原

ああ、確かに(笑)。それでいったら太陽系自体がとんでもなく小さなエリアに過ぎないわけで。

安田

そうなんですよ。それでも人間から見れば、太陽系の端はおろか火星に辿り着くことすらとんでもなく難しいわけで、それにむけて沢山の人が必死に頑張っている。…それであらためて考えたんですよ。「なぜ人間はそんな大変な思いまでして宇宙を目指すのだろう」と。


藤原

なんでしょうねぇ。シンプルに言えば「知りたい」という好奇心なんじゃないですかね。「宇宙を知りたい」「宇宙の謎を解明したい」という。

安田

そうなんだと思うんですけど、じゃあなぜ「地球の内側」にはそれが向かないんだろうと。地面の奥の奥の方だって、未知のエリアという意味では同じわけでしょう?


藤原

ははぁ、確かに(笑)。人生においても、外に出るのと同じくらい、内側を見つめるのも大事ですからね(笑)。

安田

そうなんですよ(笑)。むしろ答えは自分の内側にあったりするわけで。ちなみに藤原さんはどっちが大事だと思います? 外に出ていくことと、中を見つめること。


藤原

もちろんどちらも大事だというのは前提ですが、どちらといえば「答えは内側にある」と考える人間ですね。外部にあるものはあくまで外部であって、それらをインプットしたうえで自分がどう感じるか、が重要なんだろうなと。

安田

その感覚、よくわかります。外部を知ることで「そうか、自分はこういう人間なんだ」とわかったりしますしね。本を読んでいて「あ、そうか! 自分がこないだ感じた気持ちはこれだったんだ」みたいな。


藤原

そうそう! ありますよねそういうこと。つまり外からの刺激はきっかけであって、答えそのものではないんですよね。やっぱり答え自体は自分の内側にある。

安田

…でも世の中には、「答えを教えてほしい」って人がすごく多かったりするでしょう? ビジネス書やハウツー本が売れるのはそういうことだと思うんですよ。


藤原

答え自体を求めてしまうのもわかりますけどね。でも本に書かれているまま実践したとて、その人の人生で著者と同じことが起こるかなんてわからないわけで。

安田

そうそう。ヒントや材料は外から得られても、答えそのものは自分で見つけるしかない。むしろ「そこに気づけるかどうか」が成功のカギなんじゃないのかなと。


藤原

いやぁ、同感です。そもそも「絶対的で完璧な正解」なんて求めなくていいんですよ。その時点で自分が素直に思うことを一旦の答えとすればいい。逆に言えば、人生において「絶対の失敗」なんてものもないわけで。

安田

ああ、すごくよくわかります。「絶対的な正解」ばかり追い求めていても、あんまり幸せは感じないと思いますし。究極的に言えば「自分が幸せだと感じること」が正解なわけじゃないですか。


藤原

仰るとおりです。そういう意味でも、「誰かが決めた正解」に意味はないんですよ。自分がどう感じるかが何よりも重要なのであって。

安田

本当に仰る通りだと思います。ただね、そういう「自分の幸せとはなにか?」「生きる意味とは?」みたいな問いに真剣に向き合っている人って、あんまりいない気がして。


藤原

学校教育の影響が大きいような気がしますね。学校っていまだに「正解を出せる人」が評価される場所なので。本当はテストでいい点を取ること以外にも無限で多様な幸せのカタチがあるはずなんですけど、教育システムとしてそこを教えられていない。

安田

確かになぁ。そもそも勉強って、「新たな問いに答えるための準備」のはずなんですよ。数学にしろ科学にしろ、先人の知識を学んで、そこから次の謎に挑んでいく。つまり次のステップに進むための道具なわけで、先人の知恵をなぞるだけじゃ意味がないんです。


藤原

ええ、まったく同感です。どんな分野にも共通してますよね。与えられた問題を解くだけじゃなくて、自分で問いを立てて、それに向き合う姿勢が求められる。

安田

そうなんですよ。そしてそれ以外に目的はないはずなんです。でもなぜか「先人の知識を覚えること」ばかりがクローズアップされてしまう。それでいいんだろうかと。


藤原

しかもそこに個人のモチベーションはなかったりするんですよね。やれと言われたから、やらないといけないから仕方なく学んでいる。例えるなら、別に興味はないけどロケットに乗って宇宙に出ていっているようなもので(笑)。

安田

確かに(笑)。まぁでも、地面を掘るよりわかりやすいんでしょうね。宇宙なら何千万キロ、何億キロみたいな壮大な世界ですけど、人間が掘った一番深い穴でもまだ12キロちょいですから。


藤原

う〜ん、なるほど(笑)。確かに宇宙のほうがわかりやすいですもんね。まあ僕や安田さんみたいなタイプは、「内側を掘る」方が好きなんだと思いますけど。

安田

ええ、その通りです(笑)。「自分は一体どういう答えを持っているんだろうか」って自分に問いかけるのって、すごく楽しいじゃないですか。なんでみんなもっとそっちに興味関心を抱かないのかなぁ。


藤原

なぜなんでしょうね(笑)。むしろ僕らに「外側への興味関心」が足りていないのかもしれない(笑)。

安田

ああ、そうか。確かにその可能性は大いにありますね(笑)。だから内側にばかり意識が向くのかもしれません。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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