第135回 万代がトップダウンを貫く理由

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第135回 万代がトップダウンを貫く理由

安田

今日は組織論について伺いたいんですが、倉橋さんのXを見ていると「社員皆で作っている」ようにも見えるし、一方で「自分が決めないと進まない」というトップダウンのようにも見えます。ご自身での理想はどちらなんでしょう?


倉橋

僕は完全に「トップダウン」ですね。

安田

言い切りましたね(笑)。ボトムアップでアイデアを吸い上げるというのは現実的じゃないと?


倉橋

自分自身が一番のマーケターとして会社に貢献できると思っていますし、ビジネスモデルを作るのも自分です。組織というのは、それをスピード感を持って実行するために存在していると考えています。

安田

なるほど。世の中の経営者は「社員からのボトムアップでイノベーションを」なんて言いたがりますが、現実はそう甘くないと。言われたことを完璧にこなす人材と、ゼロから生み出す人材は別物ですからね。


倉橋

そうなんです。もちろん、リクルートさんのような会社であれば話は別です。創業者の江副さんが作ったモデルの上で、社員がアイデアを出して、ホットペッパーやゼクシィのような事業が生まれていく。

安田

リクルートは「辞めること」が前提の特殊なエコシステムですからね。誰でも参加できるアイデアコンテストがあって、そこから事業が立ち上がり、30歳過ぎたら独立していく。


倉橋

独立志向が強くてボトムアップでやりたい人を採用し、彼らが独立していくことを許容できるなら、ベンチマークしてもいいと思います。でも僕らは現場のノウハウを蓄積して長くビジネスを回していく会社ですから。モデルが違うのに真似をしてもうまくいかないだろうと。

安田

確かに。現場がビジネスを回す会社で人がどんどん辞めていったら成り立ちませんからね。倉橋さんはどちらかというと、ユニクロの柳井正さんに近いタイプですか?


倉橋

ええ。目指しているのはそのスタイルです。いわゆるマイクロマネジメントですね。棚の商品が乱れていたら自分で直すし、ゴミも拾う。1から10まで自分で決めて徹底的にやる。柳井さんの会社の問題解決力はすごいですよ。

安田

と言いますと?


倉橋

土日に起きた問題を月曜の午前中に会議して、次の土日までに必ず修正させるんです。あの執念こそがプロですよ。僕もそういうタイプでありたいと思っています。

安田

なるほどなぁ。「チラシの文字の大きさまで指示する」なんて伝説もありますが、そこまでトップが管理すると、「社長がいなくなったら終わり」というリスクもありませんか? 孫正義さんなんかもそうですが、後継者がなかなか定まらないという。

倉橋

それはあると思います。でも柳井さんを見ていると、きっと自分の後継者問題より「次の土日の売り上げ」を気にしていますよね。

安田

確かに(笑)。

倉橋

将来よりも近い未来、目の前のお客様に喜ばれることの方が重要なんだと思います。ずっと営業本部長をやっているようなものですから。

安田

「死んだ後のことより、明日の顧客満足」ということですね。そう考えると、創業者は生きている限り現役で、常に目の前の勝負にこだわり続ける生き物なのかもしれません。

倉橋

そうかもしれませんね。明日どうなるかわからないのに、10年後の後継者の心配をしている場合じゃない気もしますし(笑)。

安田

確かに(笑)。よく「ジョブズがいなくなったらAppleは終わりだ」なんて言われていましたけど、結局は形を変えて続いていますし。案外、なんとかなるものなんでしょうね。

倉橋

そうそう。それに極端な話、もし一代で終わっても、それはそれでいいのかもしれません。「創業者の代で役割を終える会社」があってもいいんじゃないかとも思うんです。

安田

なるほど。無理に延命させることに固執しないと。その潔さが今の集中力につながっているんでしょうね。

倉橋

それでいうと、柳井さんなんかその究極で、絶対に夜の会食をしないらしいんですよ。朝早く来て、翌日の仕事のために夕方にはスパッと帰宅する。僕はまだそこまで徹底できていないので、中途半端だなと反省しますよ。

安田

いやいや、十分ストイックだと思いますけど(笑)。世の中の経営者平均から比べたらすさまじいくらいですよ。

倉橋

いやぁ、1兆円売る人と比べるとやっぱり違いますからね。今の万代の規模なんて、グローバルな視点で見ればまだ子どもみたいなものですよ。

安田

これからですよ。そのための海外進出でしょうし。

倉橋

ええ。プロフェッショナルとして、もっともっと突き詰めていかないといけないなと。新年早々身が引き締まる思いです。

安田

300億を「子ども」と言える視座の高さが、次の成長を生むんでしょうね。トップダウンであることを隠さず、マイクロマネジメントを公言する。その潔さが、万代さんのスピード感なんでしょうね。

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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