第110回 日本の美容技術は安すぎる?

この対談について

「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。

第110回 日本の美容技術は安すぎる?

安田

最近、「海外から美容室目当てに旅行に来る人が増えている」ってニュースを見たんですよ。


岩上

ええ、僕も見ました。残念ながら、僕のサロンのある茨城まで来てくれる人はほとんどいないんですけど(笑)。

安田

あら、そうなんですか(笑)。


岩上

でも『ハウオリ』を導入してくれている京都のサロンさんに聞いたら、外国人観光客の来店は増えているんですって。そういうのを聞くと、ウチも英語の発信を始めてみようかなあとも思ったり。

安田

『マハロコ』は水戸駅の駅前だからアクセスもいいですし、うまくアプローチすればインバウンド需要もあるかもしれないですね。それにしても、何を目的に日本の美容室に来るんでしょう? 金額的な問題ですか?


岩上

それは確実にあると思います。海外のサロンは日本とは比べ物にならないくらい高いですから。中でも日本人スタイリストは人気で、指名料だけでもものすごい高額になるらしいです。

安田

そうなんですってね。ニュースでも言っていましたけど、海外でカットとバレイヤージュ(カラー技術の1つ)をやると10万円から15万円くらいかかるとか。


岩上

そうそう。海外ではそれぐらいが相場なんですよ。

安田

ところが日本で同じことをやろうとすると5万円以下でできる。外国の方からしてみれば「旅費を払ってでもお釣りがくる」みたいな感覚になるのかもしれないですね。


岩上

まさに仰るとおりだと思います。しかも日本だったらどこのお店に行っても「ハズレがない」という安心感もありますから。

安田

あぁ確かに。極端に下手な美容師さんってあんまり聞いたことがないですね(笑)。


岩上

日本は資格制度がしっかりしているので、どの美容師でも一定レベル以上の技術力は持っている。それが「どこの美容室もハズレがない」という評価につながるのかもしれません。

安田

なるほどなぁ。ちなみに素人質問で申し訳ないんですが、そのバレイヤージュなるものをやろうとしたら、どれくらいの時間がかかるものなんですか?


岩上

そうだなぁ…カットも含めて3〜4時間はかかると思いますね。少なくとも、予約なしでフラッと来てすぐ終わるという施術ではないです。

安田

ということは、海外のお客さんも予約して来ているんでしょうね。


岩上

ええ。だと思いますね。

安田

そう考えると、一時期、医療を受けるためだけに日本に来る「医療ツーリズム」が話題になりましたけど、今後は「美容ツーリズム」もどんどんメジャーになっていくのかもしれません。


岩上

本当ですね。まあ、昔は日本の技術を海外に教えに行くのが主流だったんですけどね。

安田

へぇ、そうだったんですか?


岩上

ええ。コロナ禍前までは、アジア諸国で学校を開いて技術を教える活動をしている美容師さんが結構いらっしゃったんです。

安田

日本の美容技術を輸出していた、というわけですか。


岩上

そうですそうです。あとは青山・原宿のブランドをハワイに持っていく、みたいなこともよく聞きましたね。

安田

なるほどなぁ。それが今や、「本場の技術を安く受けに来る」という流れに変わってきたんですね。そもそもそれだけ価値がある技術なのに、なんで日本国内ではこんなに低価格で受けられるんでしょうか。


岩上

海外には「自分の髪は自分で切る」っていうカルチャーがあるんですよね。そこが大きい気がしますね。

安田

ああ、確かに親に切ってもらったり自分で切ったりする人多いですよね。


岩上

ええ、ともあれ素人が髪を切るのって難しいですし、失敗もしますよね。だからこそプロの技術をリスペクトしていると言うか、大金を払う価値があると感じてもらいやすいんでしょう。

安田

なるほど。逆に言えば、日本は子どもの頃から当たり前にプロに切ってもらっているから、あまりありがたみを感じられないと(笑)。


岩上

そういうことです(笑)。しかも今の時代、1000円値上げしただけでもSNSで騒がれちゃったりしますから。そうやってお客さんが離れていくのを怖がって、みんなお値段据え置きにしているのかなという印象はあります。

安田

なるほどなぁ。それにしても、日本って「原材料費がかかっていないものは安くて当然」という空気がありますけど、これもおかしな話ですよね。


岩上

同感です。実際は、そこに至るまでに相当な時間とお金を投資してきているわけですから。

安田

そうですよ。日本の美容師さんはみんな、世界的に見れば単価10万円以上の価値がある技術を持っている。そこはもっとプライドを持ってもいいと思いますね。


岩上

そうですね。僕ら美容師自身も、もっと自分たちの価値を上げる努力をしていかなきゃいけないんだろうなと。

安田

この「インバウンド美容」の流れをきっかけに、技術力に見合った「適正価格」に上がっていくといいですね。


対談している二人

岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表

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美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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