このコラムについて
「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。
本日のお作法/プラダを着た悪魔 〜前作と続編のあいだ〜
映画「プラダを着た悪魔」の続編が話題になっています。人気作品の20年ぶりの新作というだけでも十分ニュースですが、今あらためて“2006年当時の前作”を見返すと、驚くのはファッション以上に「働き方の空気感」かもしれません。
深夜の呼び出し、休日対応、理不尽な叱責…
公開当時は“鬼上司だけどカリスマ”として成立していた描写も、2026年の感覚では“かなり強めのパワハラ”であり、“確実にアウト”です。でも当時は、「一流の世界は厳しい」「成長には犠牲が必要」という価値観が、ある種のリアリティとして受け入れられていました。
特に2000年代の大手企業には、
“若手はまず死ぬほど働いて仕事を覚える”
“どんなに無理してでも会社や仕事を優先する”
そんな空気がありました。
終電、徹夜、飲み会、休日ゴルフ…
“仕事とプライベートの境界”は今よりずっと曖昧で、「忙しい人ほど評価される時代」だった気がします。
「上司より先に帰りづらい」
「メール返信が早い人ほど仕事熱心」
「飲み会の参加率も評価のうち」
そんな“暗黙のKPI”が、確かに存在していました。
ですが今は、価値観が大きく変わりました。長時間働くことより、“無理なく成果を出し続けられるか”。反応だけの即レスより、“しっかり整理されたコミュニケーション”。熱量や根性より、“再現性”や“心理的安全性”が重視される時代です。大手企業でも“会議は30分以内” “22時以降メール禁止”といったルールが珍しくなくなりました。
そして今の若手世代にとっては「会社のために私生活を削る」が、そもそも前提ではありません。“仕事は大事。でも人生の一部”という感覚の方が自然です。
作品を“令和の視点”で見ると、意外と印象が変わるのがアン・ハサウェイ演じる主人公アンディの恋人役です。当時は「夢を応援しない面倒な彼氏」に見えた人も多かった気がします。でも彼は一貫して、「そんなに仕事ばかりで幸せなの?」と問いかけていました。
公開当時は少数派だったその感覚が、今ではむしろ多数派に近いのかもしれません。仕事より生活を大切にしたい。昇進だけが幸せではない。ちゃんと休みたい。恋人や家族との時間を守りたい。“キャリアの正解”が一つではなくなった今、多くの人が彼の価値観に共感できるようになっています。
つまり、この映画が変わったのではなく、“観客側の常識”が20年で大きく変わったのでしょう。
だからこそ『プラダを着た悪魔2』が気になるのです。続編で描かれるのは、ファッション業界の変化だけではなく、「働くことの価値観」そのもののアップデートなのかもしれません。ワタクシ、これから観に行ってくるのであります!!


















