このコラムについて
「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。
本日のお作法/“らしさ”を伝える採用活動
伊藤忠商事さんが、学生向けに少しユニークな社員訪問の機会を設けています。
その名も、「Morning with ITOCHU」。
学生が複数の社員から、“仕事や価値観”について話を聞くオンラインイベントですが、開催時間は、“朝8時から9時まで”。
大学の一限よりも早い時間に、社員訪問が始まるのです。
明け方近くまでの飲みが日常のタカマツにとっては、しんどい時間かもしれませんが、、
長年、仕事をできるだけ朝に移す“朝型勤務”を推進してきた同社にとっては、決して不思議な時間ではありません。
そして、このイベントは、朝型勤務の制度や効果について説明するだけの場ではありません。
学生と社員が、実際に朝の時間に会う。
会社の文化を言葉で伝えるのではなく、その文化の中に学生を招き入れているのです。
採用活動では、多くの企業が、
「挑戦を大切にしています」
「風通しのよい会社です」
と、自社の“理念や社風”を説明します。
もちろん、どれも大切なメッセージです。
ですが、会社らしさは、立派な言葉だけに表れるものではありません。
何時に会うのか。
誰が迎えるのか。
どんな表情で、どんな言葉を交わすのか。
そんな“何げない振る舞い”に、その会社が大切にしているものは、にじみ出ます。
もちろん、朝8時からの社員訪問を、
「早すぎる!!」
と感じる学生もいるでしょう。
一方で、朝の時間を有効に活用したい!という方にとっては、とても魅力的に映るはずです。
それも含めて、採用における“大切な相互理解の場”なのだと感じます。
採用とは、できるだけ多くの人から選ぶことだけではありません。
自社らしさを曖昧にせず、その文化に共感してくれる人と出会うことでもあります。
「朝型勤務をしています」
と語るのではなく、朝8時に会ってみる。
制度として始まった朝型勤務は、いつしか社員の働き方を越え、“未来の仲間と出会う機会”にまでなっていました。
会社らしさとは、説明するものではなく、体験してもらうもの。
朝8時の画面の向こうには、採用サイトの言葉だけでは見えない、伊藤忠商事という会社の“らしさ”が映っているのであります。

















