第11回 押入れの中から商売を始める
【不要品が集まる仕組み】
先日、友人と話をしているうちに、レンタル倉庫を借りたという話を聞きました。都心では収納が狭すぎてモノがあふれるため、季節ごとに洋服などを入れ替える予定だとのこと。今のレンタル倉庫は、冷暖房完備で預けたものをひとつひとつ写真を撮り、WEBで管理してくれるため、便利になっているとのことでした。
友人には話すのを辞めましたが、15年ほど前にレンタル倉庫の販売促進をお手伝いしたときに、倉庫会社の社長から話を聞いたことがあります。レンタル倉庫は、最初の数回は入れ替えをするものの、後は置きっぱなしの人が多いとのこと。最終的に解約するときに、すべて処分してほしいと依頼があることが結構あるそうです。
1:人はそもそもコレクションが好きで、ためこんでしまう
2:人の好みはすぐ変わるので、いらないものが倉庫に置きっぱなしになる
3:手元になければ、新しいものを買ってしまう
4:現金に変えることができないので、もったいないと思って捨てられない
不要と思われるものが、溜まっていく理由だそうです。
【押入れを現金化する】
「所有から利用へ」「使い捨て社会」「サブスクモデル」
購入するのではなく、レンタルする。必要な期間だけ、所有する権利を得る。コンビニの駐車場には、カーシェアリング用の車がとまっています。レンタル自転車もあります。Amazonでは、数百円/月で音楽や映画が視聴し放題になっています。最近の消費者が好むモノの使い方をあらわしています。
レンタルも普及してきましたが、この数年で消費者は、押入れのものを現金化できるようになりました。メルカリです。必要な期間だけ使い、転売するという手法。所有欲は満たされるし、興味が薄れると転売できます。それもこれも、モノの寿命がそれを必要な期間よりながいということに、消費者が気づいたのでしょう。
すぐ不要になってしまう押入れの中のものが、現金化できるようになったのです。
生活のなかで、大きなインパクトだと思いませんか?
使い終わって売り出した時に、他の人がいくらで買うのか?買うときには勝負が決まっています。また、その商品の寿命が明暗を分けます。2回まわせるのか、10回転売できるのか?何度も転売できる方が、再販価値は高いです。
ここまでくると、個人の生活が「商売」となってきます。再販価値を考えて、仕入れ(購入)をする。安い時期に購入し、高い時期に売る。バラバラに購入し、パッケージにして売る。ひな人形も、兜も、子供服も。結婚式用のドレスも、電動自転車も、DIYの道具も。押入れや倉庫に入るものは、全て現金化予備軍となってしまいます。
【商売の感覚】
「なんかいい仕事ないかな?」「おいしい新規事業あったら教えて?」冗談半分でよく聞かれます。これからは、「あったら、自分でやっとるわい!」という代わりに、「押入れにあるもの全部メルカリで売ってみたら?」と提案しようと思います。不用品がお金になることや、高かったものが売れ残るのは、今まで商売をしたことがない人にとっては、とても大きな気づきとなるはずです。売られていくモノにとっても、再利用してもらえるので、喜んでいるかもしれません。価値の高いときに売られるのですから「青い出口」になりますね。
- 著者自己紹介 -
人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、
営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。
独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
情報流通量の多少が、価値の大きさを決める時代となり、
「出口」の情報流通量を増やすことに重点を置いています。
これが「出口にこだわる」マーケティングの基となっています。
また、「出口にこだわる」実証として、
モロッコから美容オイルを商品化し、販売しています。
<https://aniajapan.com/>
商品の「出口」で情報が増えれば、ファンが増える。
「出口」に注力することで、新規マーケットの創造に力を発揮します。
出口にこだわるマーケター
松尾聡史