第95回 カエルの幸せ

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

数年前、フィリピンを訪問しました。
ビジネス視察で行ったのですが、
マニラの中心地は高層ビルが立ち並び、
新興国の発展ぶりに驚かされました。

正直に言うと、
フィリピンはまだまだ発展途上で、
海の上に掘っ立て小屋をたてて生活しているような、
昔テレビで見たイメージのままで行ったもので、
驚きはとても大きなものでした。
イメージと現実のギャップが激しく、
驚いたことだけ記憶に残っています。

ここ最近、
他国の情報をYouTubeなどで見るようになり、
今まで知り得なかったことを、
たくさん知ることができるようになりました。
世の中は広いな
知らないことがたくさんあるなと感じます。
しかも、
世界各国の事情や背景を知らずに動画を見るので、
自分のイメージとの整合性がとれず、
フィリピンの高層ビルを見てびっくりしたような
そんな感覚になるのです。

私は結構海外に行って、
様々な国を訪れているのですが、
なかなかこの違和感を拭い去ることができません。

日本は一番発展していたはずなのに、
いちばんクールなはずなのに、
一番高い教育を受けたはずなのに、
お金をたくさん儲けているはずなのに。
日本はなんか古臭いし、なんか遅れてる、
豊かじゃないし、楽しくなさそう。
そんな気持ちになってしまうようになりました。

それもこれも学生時代の
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた時のまま、
自分の感覚が固定されているのだと思います。

当時、海外に行けば物価が安いので、
長い休みのたびに海外旅行ができました。
行った現地でも、美味しそうなものを食べて、
楽しそうなアトラクションは全て堪能できました。
時間さえ許せば、長期滞在することも可能で、
お金が旅行の妨げにはなりませんでした。

その時の気持ちのまま、年月が過ぎていき、
気がつけば発展途上国が、
日本の先を走っている状態で、
逆に外国からの旅行者が、
日本を堪能してしまうようになりました。
私もそれを何の抵抗もなく受け入れています。

多分これは「ゆでガエル」というのですよね。
ゆっくり進む環境変化に気づいていても流されている。
いや、気づきたくなかったので、
変化を見ないようにしていたのかもしれません。

そう考えると、
受験も大学での勉強も、就職も進学も、
出世も転勤も、転職も独立も副業も。
その時々で努力をしてきたようで
何のために努力をしてきたのか、
自ら「ゆでガエル」になるためなのか、
とも考えてしまいます。

日本は歴史があって、安全で、食べ物が美味しいよ。
と、たしかにそう思います。
どの国にもこんな素敵な幸せはないと、
私の中のカエルも同意しています。

この「カエルの幸せ」の出口は
赤色でしょうか?青色でしょうか?

 

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- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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