第36回 自分の脳を「躾ける」ための発信

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第36回 自分の脳を「躾ける」ための発信

安田

藤原さんにすごく感謝していることがあって、今日はそれをお伝えしたいなと。


藤原

それは嬉しいな。なんでしょう?

安田

藤原さんのメルマガをもう長いこと愛読させていただいてるんですけど、「自らにストレスをかけてもそれが自分の好きなことであれば全く苦にならない」とよく書かれてますよね。


藤原

そうですね。それが「お金のため」だったり「誰かに命令されたこと」だとストレスが溜まって病気になってしまったりするんですけど、好きなことならむしろハッピーだと思います。

安田

その視点は私の中にはなかったんです。新しいことを始めてもうまくいかないこともあるわけで、そうすると「時間もお金もかけたのに損したな」とか「あの時間は何だったんだろう…」と考えてしまうことがよくあって。


藤原

そうだったんですね。あまりそんなイメージはなかったですけど。

安田

いやぁ、特にフリーで仕事するようになってからはけっこう悩んでましたね。社長をやってる時はあんまり悩まなかったんですけど(笑)。


藤原

あの頃は悩まずに突き進んでいたんですね(笑)。

安田

そうかもしれません(笑)。個人事業主って自分の時間を削って仕事をしているので、身銭を切っていく感覚に近いというか。でも藤原さんのメルマガを毎日読んでいるうちに、「もっとこの状況を喜ぶべきなんじゃないか」と思い始めて。それからはだんだんとポジティブに考えられるようになったんです。


藤原

素晴らしいですね! さすがです。

安田

いえいえ、とんでもない。ちなみに藤原さんは最初からそんなにポジティブに考えられたんですか?


藤原

いや、全然そんなことはないです。いろんな人と話をしたり本を読んだりする中で変化していったというか。ふと「人生を豊かで充実したものにするには、自分でその力を高めていく努力が必要なんじゃないか」と感じたんです。

安田

そうだったんですね。蓄積されたインプットから気づきを得たわけだ。


藤原

今思えばそうなんでしょうね。そしてその力は適度なストレスによって、より高まっていくはずだと考えたんです。もちろん「自分の好きなことで」という条件がつくわけですけど。苦しいこととか面倒なことでも、自分が進化できるならむしろお得だなと。

安田

なるほどなぁ。藤原さんもだんだんとそういう考え方に変化していったんですね。


藤原

ええ。もしかしたら「自分で自分の脳を躾けた」ような感じなのかもしれません(笑)。

安田

ははぁ、なるほど(笑)。でも実際、誰かから見れば苦しくて面倒なことでも、本人はすごく楽しい場合がありますからね。例えば趣味で切手集めをしている人がいたとして、その人に「世界中の珍しい切手がコンプリートされたもの」をプレゼントしても絶対喜ばないじゃないですか。


藤原

それはそうですね(笑)。封筒から1枚1枚はがす面倒くささとか、一生かかってもコレクションが完成しないかもしれないリスクがあるからこそ楽しいわけですから。

安田

ですよね(笑)。人生もそれと同じで、「面倒くさい」部分がコインの表裏のように「豊かさ」や「楽しさ」とセットになっているんだろうなと。まぁ、そう理屈で分かっていても、実際に商品開発をしている最中なんかは、どうしてもそう思えなくて苦しんだりもしましたけど。


藤原

わかりますよ。真剣に向き合うとなかなか大変な作業ですからね。

安田

そういえば今藤原さんに商品開発をお願いしてますけど、きっと「面倒くさいことを引き受けちゃったな」と思っているんじゃないかと(笑)。


藤原

いやいや、そんなことはないですけど(笑)。生みの苦しみというか、ある種のしんどさはありますよね。でもそのしんどさを乗り越えてできあがった商品を眺めている時には、「頑張ってよかったな」と充実感ももちろん感じられるわけで。

安田

そうそう。でもそこに辿り着くまでにはいつも「こんな大変な仕事を引き受けてしまった」と、後悔にも似た気持ちになっていたんです。それがメルマガを読んでいるうちにスッとなくなっていたのがすごくありがたくて。


藤原

そうですか。それはめちゃくちゃ嬉しいです。私も今でこそ本心で「ストレスは必要だ」と思えてますけど、気持ちが変化していく過程では自分に言い聞かせていた部分もあったと思います。日々それを自分で検証しながら確信にしていったというか。

安田

なるほど。その結果、しんどい最中でも楽しさを感じられるようになったわけですね。


藤原

そうですね。安田さんと一緒にやらせていただいている商品開発にしても、いい意味での負荷はありながらも、そのプロセス自体に喜びを感じてますから。向き合える時間があることは素直に嬉しいですし、できあがった先には自分の能力が高まることが見えている。

安田

そう考えられるのは、やっぱりさすがだなと思います。よくメルマガに「庭の草むしりが気分転換にもなって幸せな時間だ」と書かれてますよね。普通は草むしりが終わってホッと一息ついた時にようやくそういう気持ちになるのに(笑)。


藤原

むしってる最中は腰も痛いししんどいだけだっていう人が大半でしょうね(笑)。

安田

そうそう。それが脳を躾けて藤原さんのような達人の域になると、草むしりをしている最中でも幸せを感じられるようになるんだなと。自分の理想の価値観が脳内にでき上がると、自然と幸せな瞬間が増えますもんね。

藤原

そう思います。幸福度が上がった結果、成功する確率は明らかに上がるでしょうし。

安田

そう考えると「自分の躾」って大事ですね。私も今しんどい時には藤原さんの言葉を思い出して、「なんて幸せなんだろう」と思うようにしてますよ。迷える人にあのメルマガを読んでほしいなぁ。

藤原

そう言っていただけると恐縮してしまいますけど(笑)。そもそもあのメルマガには、安田さんの書籍やセミナーの要素も多分に入っているはずですから(笑)。

安田

笑。藤原さんのメルマガの何がすごいって、内容もさることながら、やっぱり毎日配信されているところですよね。例えば1週間に1回の配信だったら、こんな風に私の気持ちが変化することはなかったと思うんです。

藤原

もう5800日言い続けてますからね。一種の暗示に近いかもしれません(笑)。

安田

かもしれませんね(笑)。それにしても、5800日続けるってすごいですよね。書いてる自分自身の脳も躾けられてるんじゃないですか。

藤原

いや、まさに仰るとおりで。もともとメルマガを始めた目的は自分を鼓舞するためでもあったので。

安田

なるほど。「発信することの意味」ってそういうところにあるのかもしれませんね。「自分はこういう人間なんだ」と自分に思い込ませることができるというか。

藤原

そうですね。それこそがコツかもしれません。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

Twitter

1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから