第43回 人は皆、365日24時間休みにできる

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第43回 人は皆、365日24時間休みにできる

安田

よくメルマガに書かれているように、藤原さんは休みの日でもお仕事をされてますよね。仕事と休みの境目がない感じがします。一般的には「よくやるなぁ」と思われそうですけど、ご自身はどうお考えですか?


藤原

そうですね。私の場合、そもそも仕事と休みの定義が少し違っているのかもしれません。私は休日に仕事をすることを負担には思っていないので。

安田

なるほど。よく言われますけど「義務なのか権利なのか」という話なのかもしれませんね。例えば子育ての話でも、日本人は「親の責任だからしなければならない」と考える。一方欧米の人は「子育ては自分の権利だ」と思っている。


藤原

ああ、私も確かにそういう感覚かもしれません。「休みの日に楽しい仕事をする権利を行使している」というね。でも一般的な休みの定義は、物理的に体や脳を休めることですよね。

安田

そうそう。休日に仕事をするなんて考えられない、という感じですよ。できれば一日惰眠を貪っていたい、という人もいるでしょう。でもね、例えばスポーツ選手にとっては睡眠も仕事の一環ですよね。体調を整えるために必要なことですから。あるいはお相撲さんは体を大きくするために食べている。つまり食事も仕事です。


藤原

ふーむ、確かに。いずれも仕事のパフォーマンスを上げるための準備ですもんね。

安田

そうなんですよ。そうなると「休み」ってなんなんでしょう? 休みの日にも進んで仕事をなさっている藤原さんの定義だとどうなりますか。


藤原

僕の考えでは、休みとは「自分の意思で好きなことを自由にできる時間」ですね。だから、人生そのものが休みと言ってもいいかもしれません(笑)。

安田

ははぁ、人生が休み。壮大ですねぇ(笑)。


藤原

そうですね(笑)。例えばスポーツジムでトレーナーから「今日はお休みですか?」なんて聞かれたりすると答えに困ってしまって。

安田

わかります、その気持ち(笑)。「何連休ですか?」って聞かれても、答えようがないんですよね。


藤原

仰るとおりで。僕はだいたい「会社は9連休です」なんてお茶を濁すんですけど(笑)。

安田

私も同じです(笑)。特に私は祝日に仕事を入れることが多いので、全くかみ合わなくて。「祝日は仕事をしてます」って正直に言うと、「そんなに働くんですか?」なんて言われたり(笑)。本当は他人に休みを決められるのが嫌で、ささやかな抵抗をしているだけなんですけど。


藤原

そうなんですね(笑)。まぁでも実際のところ、自分で事業をしている人は「24時間自分の時間」とも言えるわけですよね。会社員みたいに何かを強制される時間がないわけだから、つまり毎日が休日だとも言える。

安田

なるほど。自分の時間=休み、ということですね。そうか、そう考えると同じお相撲さんでも、体を大きくするための食事と、好きな人との食事では意味が変わってきそうですね。


藤原

そうですね。一日中ゴロゴロするにしても、それが強制されていたら休みとは言えない。そうなると、「自分の意思で好きなことを好きなだけできる」のが休みなんでしょうね。それが人によっては旅行だったり、仕事だったりするだけで。

安田

ははぁ、なるほど。ということは、会社に行っていても自分の意志であればそれは休みだと言えると。


藤原

そう思います。仕事も自分の意思で選択しているなら、それは経営者同様に「毎日が休み」と言えるんじゃないでしょうか。

安田

なるほどなぁ。それで言うと藤原さんはまさにその典型ですよね。草むしりまで楽しんでいるわけですから(笑)。


藤原

まさにその通りです(笑)。楽しくないことはやらない、それが私の基準ですね。

安田

なるほどなるほど。まぁ、休みという言葉を「仕事の反対語」として捉えること自体が間違っているんですよね。仕事が「拘束される時間」で、休みが「解放される時間」と考える風潮があるというか。


藤原

その考え方は、キリスト教的な労働観に由来しているとも言われますよね。アダムとイブが罪を犯し、罰として労働を与えられたと。

安田

なるほど、仕事は罰であると。


藤原

そうそう。本来日本人は、神道の影響で「労働=尊いもの」と考える価値観があったはずなんです。でも欧米の考えを取り入れ過ぎて、労働を苦役と感じるようになってしまったのかもしれません。

安田

確かに、昔と今とでは仕事に対する感覚も違っているでしょうね。昭和30年代頃までは、会社員よりも個人事業主の方が多かったわけで。その頃は今のように「仕方なく仕事をする」という感覚は薄かった気がします。


藤原

ああ、なるほど。そう考えるとキリスト教の影響というよりは、教育とか組織論とかの問題かもしれませんね。

安田

そうそう。会社というシステムが、今のような「仕事と休み」の境界を生んでしまったのかもしれない。平日は毎日出社することがまともな社会人だと教えられてきているので。


藤原

確かになぁ。そうした価値観を、学校や家庭を含めた社会全体から教え込まれた結果なんでしょうね。

安田

まぁ、だとしても選択権は自分にあるんですけどね。「会社員として我慢しながら働いて、家賃を払うために給料をもらう」というゲームを選んだのは自分なんです。

藤原

その通りです(笑)。「選べない」と思い込んでいるだけで、本当は選んでるんですよ。

安田

人はどんな環境でも、365日24時間休みにすることができる。それに気づいたら、仕事も休みもなくなるんですけどね。なかなかそれに気付けないし、気付いたとしても選択できないんですよね。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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