日曜日には、ネーミングを掘る ♯059 御中と様

今週は!

令和の世に入り、いまは大型連休中。あまり長々しい文章も読みたくないでしょうから、今回は小ネタを一席。

このブログでは、ネーミングをテーマに連載をつづけておりますが、何度か人の名前に関する話を書いています。今回もそんな人の名前にまつわるお話です。

仕事をしておりますと、ときどきプレゼンテーションというものをしなければならない場面に出くわしますが、みなさんはプレゼン資料の表紙の宛名をどのようにしていますか。ほとんどの人は、左上に社名を入れて「○○○○○御中」と書いているのではないでしょうか。

去年のこと、とあるエスティティックサロンを運営する会社さんから30周年誌の仕事を受注しました。3社コンペの案件でした。オリエンに行くと、あらわれたのは社長以下、全員が女性。役員は社長の二人の妹さんが務めておられ、幹部のお二人も社長と長年労苦を共にしてきた女性でした。5人の女性たちは、それこそ一心同体という感じでとても仲が良く、自分たちが過ごしてきた年月やそこで起こったことを語ってくれるのでした。

私はこういうシチュエーション、わりと好きでして(笑)企画にも自信があったのですが、提案の際には何かでもう一押し、女性たちの気持ちを動かしてみたいなと思いました。そこで考えたのが、プレゼン資料の宛名のところに5人の女性の名前を入れることでした。

つまり、こうなるところを

このようにしたわけです。

私たちにとって、自分の名前はいちばん身近で特別なネーミングですが、思ってもみなかった場面でそれを目にすると、思わぬ効果があるようです。

「佐藤さん、あのとき、私たち一人ひとりの名前を書いてくれたでしょ。あれ、びっくりしたけど、とっても嬉しかったなぁ」一人の女性からそう聞かされたのは、無事に納品が済んだあと、打ち上げの席のことでした。

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