第58回「出願データを読む」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第58回  「出願データを読む」

未知のウィルスに我々が出会ってから1年半。商標出願データを使って、この間のビジネス変化を探りました。商標出願分析ツール「Dataコンパスby H.O.」が、出願された商品や役務に付けられた類似群コードを数百万件オーダーで収集&解析。コロナ顕在化前の2020年1月を基準の100%として、その後の類似群コードの伸びを表示しました。

特徴的な動きをしているのは「洗濯・クリーニング (類似群コード37F02)」サービスです。
センセーショナルだったクルーズ船内での感染が発覚した2020年2月、すぐに値が上昇します。オリンピックの延期が決まった3月には200%超を記録し、それ以降も2020年は高い水準を維持します。一方で、2021年に入ると落ち着きはじめ、直近2021年4月のデータを見ると平時の2020年1月と変わらない値まで戻っています。
これは我々がコロナ慣れしてきた様子が映し出されているようです。
コロナ発生当初はあれだけ過敏に服の清潔さを気にしていたのがウソのように、今では何日か着まわしたりします。消費者の行動が企業を通して出願にも反映されているのでしょう。

反対に、高い水準で出願され続けているものもあります。ペットとゲームです。
ペット用の被服や玩具といったペット関連用品をカバーする類似群コード19B33は、2020年2月から2021年4月までの14ヶ月間の伸び率が平均150%以上と高水準を維持しています。
ペット産業は、間違いなくコロナ禍で成長した産業の1つです。テレワークが始まって以来、同僚との雑談が思いのほかリフレッシュになっていたのだと痛感しました。ペットとの触れ合いを欲する人が増え、そのビジネスが伸長していることがうかがえます。

また、ゲーム機本体やゲーム用プログラム(ソフト)をカバーする類似群コード24A01についても平均で130%ほどと底堅く推移しています。旅行やイベントが軒並み中止となり自宅で過ごす時間が大幅に増えました。巣ごもり需要に対応した形でゲーム系の出願が増えるのも頷けます。

未来コンパスが指すミライ

商標の出願データのみでビジネスの未来を見通すのは難しいですが、知財のデータが市場動向を読み解くための一つのカギとなるのは間違いありません。これからのビジネスを描くヒントにすべく、今後も追いかけます。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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1件のコメントがあります

  1. 外部環境の変化が出願動向を左右する事例、面白いと感じました。コラム、ありがとうございます。

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