「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。
第18回 元・お客さん、スタッフになって美容師資格取得を目指す
以前の対談の中で「お客さんがスタッフになった」というお話がありましたよね。私、それを聞いて、そんなパターンの採用もあるんだなぁと驚いたんですよ。
確かにあまり一般的ではないかもしれませんね(笑)。髪を切っている最中に「ここで働かせてください」って言われて、「あ、そう? じゃあやってみる?」みたいなこともあったり(笑)。
なんと(笑)。この人手不足の折にすごいことですよ。ちなみに美容師さんが転職してくるパターンが多いんですか?
そうでもないですよ。例えば20年以上ウチで働いてくれている女性スタッフさんは、前は県の臨時職員でした。
へえ! つまり未経験の方が「働きたい」と言ってきたと。
そうなんです。マハロコになる前のお店の常連さんだったんですが、ある日、「ちょっとご相談が…」なんて言われて。なんだろうと思ったら、「このお店のスタッフの方たちの働き方を見ていたら、私もここで働きたいと思っちゃったんです!」って(笑)。
へぇ〜すごい! それくらい雰囲気が良かったってことなんでしょうね。素晴らしいです。
ウチで成人式のヘアセットをした子から「働きたい」って言われたこともありましたね。彼は福祉関係の専門学校に通っていて、その時すでに福祉業界のお仕事も内定していたんです。でもそれを断ってウチに入ってきたんですよ。
ははぁ…そうまでしてマハロコで働きたいと思ってくれたというわけですか。でもそのお2人とも美容師免許を持っていなかったんですよね?
持っていませんでした。入社後、ウチで働きながら通信教育で勉強していましたね。
へぇ、美容師免許って通信でも取れるんですね。必ず学校に通わなきゃいけないのかと思っていました。
通学なら2年、通信だと3年という違いはありますが、問題なく取得できますよ。
学費はやっぱり通信の方が安いんですよね?
そうですね。ただ学校によってピンキリで、3年間で30万円くらいから100万円くらいまでとけっこう幅広いです(笑)。
ははぁ、なるほど。でも通信なら、給与をもらいながら資格取得ができるわけですよね。それはすごくメリットなんじゃないかと。
そうそう。実際ウチにも昔、高校卒業と同時に入社して、働きながら美容師資格を取った子もいました。学費で親に負担をかけたくないからって。
ははぁ、素晴らしいですね。ちなみに岩上さんの性格なら「学費はうちで全部出すよ」なんて言いそうですけど、そういうことはされなかったんですか?
それは一切出しませんでした。というのも、「お店が負担する=お店に貸しができる」わけじゃないですか。それで彼らをお店に縛り付けることになるのは嫌だなと思って。
ああ、なるほど。確かに学費を全部負担してもらっちゃうと、辞めづらいですもんね(笑)。
そうそう(笑)。とは言え、資格取得のためのサポートは最大限しましたね。夏と冬に数週間の研修があるんですが、それも有給扱いにしてあげたり。
さすがですね〜。ちなみに無資格の人をスタッフとして採用した場合、何から任せていくんですか? まずはシャンプーから?
いえ、無資格の人はお客様に触れることは法律的にNGなんです。カットはもちろん、シャンプーもダメ。
え、じゃあ、美容師資格が取れるまでは何もできないじゃないですか。他にあるとしたら……せいぜい掃除とかお茶出しとか?
そうなんですよ。カットやシャンプーの練習ができるのは、閉店後の店内だけ。だから僕は彼らには日中に「お客様ハント」というのをやってもらうことにしたんです。マハロコのお客様になっていただけそうな方を街で探してきてよ、と。
お客様ハント…なんだか聞き慣れない言葉が出てきました(笑)。では次回、そこについて掘り下げてお聞きしていきたいと思います!
対談している二人
岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表
美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。