第54回 年間計画を立てるときのカギは、売上のピークを12月にすること

この対談について

「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。

第54回 年間計画を立てるときのカギは、売上のピークを12月にすること

安田

以前の対談で、岩上さんのお店『マハロコ』では9月頃から年末の予約が埋まり始めるとお聞きしましたが、一番早く埋まるのは何日あたりなんですか?


岩上

1番人気は12月27日以降ですかね。そのくらいのタイミングで来店いただくと、年始の「お仕事始め」の時までもちますからね。

安田

ははぁ、なるほど。ということは美容業界の年末商戦は12月末まで、となるわけですか。


岩上

それでいうと成人式までですね。成人式が終わることで「ようやく1年終わった」という気持ちになるんですよ(笑)。ということで僕らの年末商戦と言えば、ボーナスが出たあたりくらいから成人式までですね。

安田

なるほどなるほど。その1ヶ月少しでかなりの売上になるわけですよね。


岩上

そうですね。多くのお客様がそのあたりでチケットをまとめて購入くださることが多いので、12月が売上のピークになります。

安田

でもチケット自体も、決して安いものではないじゃないですか。もちろん個別にオーダーするよりかなりお得にはなっているんでしょうが、単価としてはなかなかの額なわけで。それをコンスタントに買ってもらえるってすごいですよね。


岩上

それもこれも日々のカウンセリングの賜物だと思います。お客様のお悩みやご希望をしっかりヒアリングし、最適なご提案をする。そこにこだわっているからこそ、信頼いただけるんだと思います。そして信頼さえいただければ、チケットは全ての施術に使えてお得なので、買わない理由がないわけで。

安田

ああそうか。「このサロンに通い続ける」と決まっているなら、確かにお得なチケットを買っちゃった方がいいですもんね。とはいえ、そこまでの信頼を得るのも簡単じゃないですよね。


岩上

ええ。だからこそ、1年をかけて次も購入いただけるようなコミュニケーションを取っていくことが重要なんです。敢えてビジネス的な言い方をするなら、「売上を作るための仕込み」をちゃんとできるかという。

安田

ははぁ、なるほど。そうやってビジネス的に考えるとわかりやすいですね。営業マンが時間をかけて信頼関係を築くのと同じってことか。ちなみに具体的にはどんなコミュニケーションを取るんですか?


岩上

ウチではお客様のカルテに、年間のご来店回数や使用金額、どういうメニューをやる傾向にあるかといった個人データがしっかり記載してあるんですよ。だからそれを参考に「お客様の場合、夏以降からこの施術をやることが増える傾向にあるので、来年はチケット枚数が足りなくなるかも。それならお得な時期に多めに買っておいたほうがいいかもね」みたいなお話をしたりとか。

安田

そうか、12月にチケットを買うとちょっと安くなるんでしたね。


岩上

そうなんですよ。3%オフになるのでお得なんです。たくさん枚数を買う方は特に。

安田

なるほど〜! じゃあ12月に翌年1年分のチケットをまとめて買って、他の月には一切お金は払わないっていう人も出てくるんじゃないですか?


岩上

いますいます。そういうこともあって12月がドカンと売上が高くなって、1000万円を越えてくるわけです。それに比べると1月以降は落ちるんですが、すぐに成人式があったり、2月以降にも結婚式の二次会パーティーが増えたり、3月からは卒業式・入学式・新年度などで新規顧客も増えていく時期ではありますので、ちゃんと売上は立つんですけどね。

安田

ははぁ、素晴らしいですね。ちなみに平均的な月の売上ってどれくらいなんですか?


岩上

ウチで言えば、スタッフ1人あたりの平均売上が毎月150万円くらいですね。スタッフは5人いるから、お店全体としては月750万円くらい。

安田

もうそれ、1000万円とほとんど変わらない気もしますけど(笑)。でもまあ12月にしっかり売上を作っておくことで、1年間の売上の目処も立つというわけですね。


岩上

ええ。あとはスタッフの働き方としてもメリットがあって。12月に集中的に売上を作るから、1月2月はしっかり休めるんです。今年も2月に1週間の長期休みを取りました。

安田

なるほどな〜。ゆっくりできる時間を作るためにも、12月に大きな波を作ることが大事だというわけですね。


岩上

そういうことです。年間の売上計画が立つことで、「あとはどこにお金をかけよう」とか「今年はどんな新しいことを始めてみようか」といった新しい企みができるんだと思っています。


対談している二人

岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表

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美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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