「システムを入れたのに効率化されていない」〜お医者さんは、なやんでる。 第95回〜

第95回 「システムを入れたのに効率化されていない」

お医者さん
お医者さん
院内業務をシステム化してしばらく経つけど、あんまり効率化されている気がしないな。今日も患者さんに「待ち時間が長い」と言われてしまったし。
お医者さん
お医者さん
業者に言っても、システムそのものの使い方について説明されるばかりで、よくわからない。どうしたものだろう。
システムは「育てていく」ものなんですよ、先生。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ん? システムは育てていくもの? 妙な言い方をするね。というか、そもそも君はいったい誰だ?
はじめまして、ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ドクターアバター? これまた妙な名前だな。いやしかし、医療システムには詳しそうだな。それで、システムを育てていくとは、どういう意味なんだね?
システムを導入するというのは、ゴールではなくスタートに過ぎないということです。つまり、課題や要望に合わせて定期的に「チューニング」していく必要があるんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
チューニング?
はい。例えば、先ほどの先生の言葉にあった「患者の待ち時間」問題。せっかく予約システムを導入して効率化したはずなのに、患者さんの待ち時間は減っていないと。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうなんだよ。まあ、僕はずっと診察室にいるから、実際のところはよくわからないんだがね。患者さんが感覚で言っているだけかもしれないし。
そこです。システムを入れた以上、そういったデータもある程度測定可能なはず。それがシステム化の大きなメリットなので。
絹川
絹川
そこで得たデータに沿って、必要があればシステムをチューニング、つまり設定を変更したりオプションを追加したりすると。ただなんとなく運用しているだけだと、結局システム導入前とあまり変わらない状況が続くことになるわけです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
確かに、システムは入れたけどあんまり活用できている気はしないな。でも、データに沿ってシステムをチューニング、と言われてもね、具体的に何をどうすれば患者の待ち時間が短くなるんだね。
よくあるのが、予約システムは使われているけど患者さんがその時間に来ない、病院のマンパワー以上に予約を詰め込んでしまっている、などのケースですね。患者さんが遅刻すれば当然それ以降の予約に影響が出ますし、1人しか診れない枠に2人予約を入れてしまえば、当然時間は押してしまう。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふむ。そう言われると非常に単純な話だな。ウチの場合、どちらのケースもありそうだ。
病院側でコントロールしやすいのは後者、つまり予約数の調整です。予約数を減らせば患者さんの待ち時間は短くできるでしょう。しかしそのぶん収益は減るわけで、ちょうどいい落とし所を見つける必要があります。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
うーん、まあ、言っていることはわかるけどね。結局、その「ちょうどいい落とし所」をどう見つけるかという話なんだろう? あるいはそれが見つかったとして、システムのチューニング自体は結局業者に頼むしかないわけでさ。
確かにそう簡単なことではないんですが、「システムは育てていくもの」という意識があるかないかで、状況は変わってくるはずです。日頃からシステムに意識を払うようになり、だからこそ「じゃあこんな運用したらどうだろう?」というアイデアも出てくる。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
確かにそうかもな。逆に言えば、今のような「何が何だか分からない」状態でただ不満を言っていても、何も変わらない。
お医者さん
お医者さん
ちなみに、君ならどんな運用にする? せっかく知り合えたんだし、教えてよ。
そうですね。具体的にはデータを拝見しないとわかりませんが、現状、予約の有無に関わらず一律になっている待ち時間に、あるていど差を設けるのがいいかもしれません。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ん? というと?
簡単に言えば、予約を「ファストパス」として使うやり方ですね。「オンライン予約してくれるなら待ち時間は短くてすみますよ、予約がない場合はそこそこ待ってもらいますよ」という体制にするんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
あ、なるほど。確かにそれが定着すれば、今より運用が楽になりそうだ。……って、なるほど、こうやってシステムに興味を持つこと自体が重要なんだな。
仰るとおりです!その調子でいけば、自然とよりよい運用方法が見つかると思いますよ。
絹川
絹川

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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