第2回 わび和さび -社長峠のことわざ

この記事について
半世紀も生きてきますと、【ことわざ】の持つ意味が、より深く染みるようになりました。昔の人はうまいこと言ったもんだなぁと、しみじみ。時代の転換期、大きく世の中が変わってゆく中でも、人やこの世の本質的な部分は、案外変わらなかったりします。結構スルドイところを突いてくるのです。

本日のことわざ
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」危険を覚悟して思い切ったことをしなければ、はなばなしい成果は得られないこと。(岩波ことわざ辞典より)

大切で貴重なものを「虎の子」というたとえ方があります。ここでいう「虎子」ですね。やはりこれも中国の古い書物に起源があるように、古くから言われている事です。 Nothing ventured, nothing gained. という似たような英語のことわざもある事から、時代も国も問わない共通の法則なのでしょうね。

とまあ、色々書いてまいりましたが、誰だってわかりますよねえ。ラクして得られるモノなんてたかが知れている。ましてノーリスクであれば尚更です。とても貴重で素晴らしく価値のあるものを得ようとすれば、ある程度の覚悟とリスク、そして行動が必要!

 

ん!? ちょっと書いていて気づきました。これサブタイトルは【社長峠のことわざ】そういえば、起業家や経営者はまさにガンガン虎穴に入っていくタイプだなと!

ちょっと誤解を恐れずに書きますが、起業家さんや常にイノベーションをおこす経営者の方などはえてして、なんかこうものすごく怖いもの知らずな印象があります。それも事業規模が大きくなればなるほど、その傾向が強くなる。多くの方々の一般的な思考回路とはちょっと違って、どこかぶっ飛んでいる。

もちろん、ただやみくもに考えなしでやっているわけではないのですが、こう常識的なあらゆる事象を想定して、リスクを最小限に抑えて、ある程度の勝算が確実となったら動きましょう・・・というタイプではない。自ら虎穴に突っ込んでいく勇敢さを持ち合わせている。そこには今なら虎の子をGETできるぞ!という自身の直感の様なものを信じているのかもしれません。それと、母ちゃん虎にみつかって殺されかかったとしても、また違う方法を考えて何度でもリベンジするという諦めない強靭なメンタルを持っている。虎の子を得るまで虎穴に入ることを諦めないからこそ、デカイ事業を成す事ができるのでしょうね、きっと。

さて最後に。誰もが虎の子を取りにいった方がいいと言っている訳ではありませんのであしからず。たぬきの子でも、りすが溜め込んだどんぐりでもよし。自分が本当に望むものを取りに行く。そんな生き方がしあわせなのかなと、そんな風に思います。

これからの時代、危険を伴い大きな代償を払う必要があるからこそ価値がある!というのではなく【自分にとっての虎の子は何か】を見つけることが大切になってくると感じています。ことわざ本来の意味は現代にも通ずる普遍的な面白さもあり、また新しい発見もある。まだまだ始まったばかりのこの連載、当分ネタ切れになることはなさそうです!

 

著者について

 

黒須 貴子(くろす たかこ)
https://tempurayama.com/

数々のアルバイトや専業主婦などを経て、消防設備の会社を設立。下請けからの脱却、女性消防設備士の登用など、難題に直面してきた経験をシェアして生かせる〈社長峠の茶屋〉を始める。学生時代はパンクロッカー、現在はヴィジュアル系のキャンサーサバイバー。

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