第14回 起業前の社会人経験は「2年」で広げる

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国13店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第14回 起業前の社会人経験は「2年」で広げる

安田
倉橋さんは若い起業家を応援されていますけど、起業するなら早い方がいいのか、それとも社会人をある程度の年数経験してからの方がいいのか、どちらだと思いますか?

倉橋

うーん、そうですね。僕は早い方がいいかなと思います。

安田
早ければ早い方ほどいいですか。

倉橋
まあ、基本的な社会のルールを学ぶという意味で、2年くらい社会人経験をするのは大事かなと思いますけど。でも、「物が売れる法則」をある程度学んだら、すぐにでも独立した方がいいかなと。
安田
独立を急ぐのは、若いほど可能性があるってことですか。時間もあるし、失敗してもやり直せるしみたいな。

倉橋
そうそう。若いときの傷は浅くてすみますから。プライベートでも、そこまでの責任を負わなくてよかったりもするし。
安田
確かに、結婚して子供もいるとなったら、なかなか気軽に失敗はできないですもんね。

倉橋
そうそう。プライベートのリスクが少ないうちの方が、意思決定をしやすいですよね。そもそも、失敗すること自体は悪いことでも何でもないので。
安田

とはいえ、仮に2年で独立した後で、会社員のうちにこれも学んでおいた方がよかった、こっちの知識を得てから独立した方がよかった、と後から気付くこともあると思うんですよ。


倉橋
それはそうでしょうけど……でもそれを言い始めたらキリがないですよ(笑)。
安田
確かに、完璧な状態を待っていたら、いつまでも独立できませんね(笑)。

倉橋
そういう意味でも、最初から期間を決めちゃうってのはアリだと思います。個人的なオススメは2年くらい、長くても3年くらいじゃないかなと思いますね。
安田
なるほど。逆に社会人経験が全くゼロっていうのはどうなんですか。世の中には全く社会人経験なく起業して大成功してる人もいるじゃないですか。リクルート創業者の江副さんとか、ZOZOの創業者の前澤さんとかもそうですけど。

倉橋
社会人経験のない中で活躍されている人たちは、突拍子もないアイデアがあったり、行動力もずば抜けてますよね。
安田
ああ、確かに。そういう意味ではやっぱり2〜3年の社会人経験はあった方がいいんでしょうね。

倉橋
会社のリソースをタダで使えて、そこで得たノウハウを自分のビジネスにも使える、と考えると、お得な経験ではあると思いますね。
安田
なるほどなるほど。ゼロからやってうまくいく人は一部の限られた人だから、まず2年ぐらいは会社に勤めて、会社のリソースを使いながら存分にノウハウを学んだ方がいいと。

倉橋
そうですね。会社に勤めるメリットはもう1つあって、「現実の商売の現場を見れる」ということで。というのも最近、起業したいっていう大学生とよく話すんですけど、10人いたら8人ぐらいが「SNSマーケティング」をやるって言うんです。10人起業する中で8人やるっていうのは、その時点ですごいレッドオーシャンじゃないですか。
安田
確かに(笑)。

倉橋
資本もあまり必要ないし、なんかカッコいいし、結果を出してる人も大勢いる。彼らはそう思ってるんでしょうけど、誰もが思いつくそんなレッドオーシャンで勝負するより、現実の商売の現場をたくさん見たほうがいいですよ。
安田
同感です。私はリクルートに1年8ヶ月しかいなかったですけど、BtoBというものの存在を初めて知りましたし、広告1ページが何百万円っていう金額で売られていて、自分の中の常識が変わりました。今思えばすごく勉強になりましたね。

倉橋
そういう商売の現場を見たわけですよね。やっぱり現場での経験が一番ですよ。
安田
あれがなかったらラーメン屋とかやってたかもしれません(笑)。いや、ラーメンビジネスが簡単だって言いたいわけじゃなくて、いきなり学生がBtoBなんて思い付かないですよね。

倉橋
学生は自分の世界しか知らないんですよね。結果、起業するならSNSマーケティング、あるいは学生塾もいいな、となってしまう。みんな優秀で賢いんですけど、視野が狭くて、本人がそれに気づいていない。
安田
ちなみに2年と限定して学ぶとしたら、会社はどういう選び方をするのがいいですか? 本当に学ぶべきところと、ここに行ってもしょうがないってところとあると思うんですけど。

倉橋

もしいけるんだったら、商社とかゼネラリストの会社に行った方がいいと思います。それで言うとリクルートは最高にいいですよね。

安田
へぇ、そうなんですね。スペシャリストじゃなくゼネラリスト的な。スペシャリストだとやっぱりあまりにもやることが限られちゃうってことですか。

倉橋
仰るとおりです。例えば醤油だけを売っている会社に入ってしまったら、それこそ醤油のことしかわからない。いろんな販売の現場を見て、それぞれの売り方を学習した方がいいですからね。あとは商売の一連の流れを見ることも重要です。
安田
なるほど。納期があって締め支払いから入金の確認までという流れですね。そういうことを2年ぐらいで徹底的に覚えると。
倉橋
ええ。そうやって基礎を学んでおいて、起業するときは「スペシャルな商品」で勝負すると。
安田
ははぁ。じゃあまずは商品や顧客が幅広い会社で2年学んで、起業するとなったらぐっと商材を絞り込んでやるというのが一番いいと。

倉橋
まさにそれが一番いいんじゃないですかね。
安田
2年で広げて、起業したら絞るってことですね。なるほどわかりやすい。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に13店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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