第29回 1000人企業社長の社内コミュニケーション術

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国18店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第29回 1000人企業社長の社内コミュニケーション術

安田

今日は万代さんの代表である倉橋さんと社員との関わり方について聞いてみたいと思います。万代さんはもう1000人企業なわけですよね。


倉橋

そうですね。店舗スタッフもすべて合わせるとそのくらいの規模になります。

安田

それだけの大所帯になると、社長と社員が接する機会もなかなか持てませんよね。倉橋さんはそのあたりどうされているんですか?


倉橋
仰るとおり、人数が増えるにつれて一人一人と顔を合わせる機会が減ってしまいました。直接会ってやり取りができるのは、どうしても幹部が中心になってしまう。まぁ、幹部だけで50名くらいはいるわけですけど。
安田

ははぁ、幹部だけで50人ですか。


倉橋

ええ。とはいえ、やっぱり社員たちともコミュニケーションをとりたい。何かいい方法はないかと考えて始めたのがX(旧Twitter)なんです。

安田

ああ! そういうことなんですね。確かにXなら手軽かつ効率的に発信できますもんね。具体的にはどのような使い方をされているんですか?


倉橋

流れで説明すると、まず月に1回幹部を集めて会議をします。そこで直接、社長としての意見やポリシーを伝える。幹部たちはそれをそれぞれの持ち場に持って帰り、部下たちに伝える。以前はこれで終わりだったんですが、ここにプラスして私がXで補足的なポストをするわけです。

安田

ははぁ、なるほど。アナログ的に幹部の方から伝えてもらいながら、オンラインではダイレクトに社長の声を届けると。言わばリアルとオンラインで挟み撃ちするわけだ。


倉橋

まさにその通りです(笑)。例えば会議の中で「店舗スタッフはいま繁忙期で大忙しだ。社長からもエールを貰えないか」なんて話が出たら、僕がXを使って「頑張ってください!」とポストするわけです。

安田
それは社員さんたちも嬉しいでしょうね。Xのポストって人間性も出ますし、直接言われているような気分になれそうです。

倉橋

そうなんです。僕のこの熱量を直接伝えたいと思っていて。逆にスタッフの方からDMを送ってくれるのも大歓迎ですし。

安田

そういえば以前、お客さんからもDMで提案を受けることがあると仰っていましたよね。


倉橋
そうなんですよ。SNSって本当にすごいですよね。私自身いろいろなところから情報を得ていきたいと考えているので、本当に助かっています。どこかで関所を作ってしまったら、いい提案も悪い報告も上がってこなくなる気がするので。
安田
確かに。でも幹部の方には、社長と部下が直接やり取りするのに抵抗はないんですかね。「自分たちの立場がなくなる」と心配されそうな気もしますけど(笑)。

倉橋
う〜ん、もしかしたら内心そう思っている人もいるかもしれませんけど(笑)。でも、SNSを活用することで、様々な意見がスピーディに回るようになります。その中には当然、幹部たちからの意見も含まれる。結果、そのフィードバックをもとに会社をよりよくできるわけで。
安田

なるほど。幹部たちにとってもプラスの効果が高いものだと。


倉橋
そう思います。そもそもの話、幹部メンバーが面白くないと感じる会社なんて、ポジティブに成長していけるはずないですから。
安田

確かにそうですよね。とはいえ、先ほども言いましたが、幹部50人とやり取りするだけで大変じゃないですか? その50人が会議には一同に介するわけでしょう?


倉橋
まぁそうですね、なかなか大変です(笑)。
安田
「1人で管理できるのは7人まで」なんて言いますし、50人となると、倉橋さん一人じゃ難しいんじゃないんですか?

倉橋
確かに直接50人全員とじっくり話すのは難しいですよね。だからその幹部会議でも、基本的に私からの発信が多くなります。その際には「社員の皆が稼いだお金をこの1ヶ月で何に使ったか」などもしっかり伝えていますね。信頼関係が何より大事ですから。
安田
へぇ〜。会社のお金の使い道を会議で全部報告すると。でもうまくいっていることばかりじゃないですよね。
倉橋
もちろん、できれば言いたくないなということもありますよ(笑)。でも、それでも包み隠さずしっかり伝えるようにしています。
安田

そういう誠実な対応が重要なんでしょうね。会議では他にどんなことを話すんですか?

倉橋
数字などの報告を僕が行い、その流れで「これからはこういう方向でやっていきたい」という提案をします。その内容について具体的にどう進めていくかのアイデアを出し合って、皆でセッションする感じですね。
安田

なるほど。50人もいたらかなり活発な意見交換になりそうですけど、まとまるまでかなり時間がかかるような気もします。会議自体は何時間くらいやってるんですか?

倉橋
会議はきっちり2時間で設定しています。その後30分かけて、決まったことをスケジュールに落とし込む。そこまでを2時間半でピタッと終わるようにしています。
安田
なるほど。最初から終わりの時間をきっちり決めて臨むわけですね。だからこそいい意味で緊張感を持って話し合いができると。でも、50人が参加するような大きな会議でそれをやるのは、口でいうほど簡単じゃないですよね。
倉橋
実はそこはちょっとした理由があるんです。皆がキッチリ時間を守る理由が。
安田

ほう、なんですか?

倉橋
万代では会議の後に「コンパ」と称する飲み会が必ずセットになっているんですよ。
安田

なるほど(笑)。皆さんそれを楽しみにしているから、時間キッチリに終わらせようという意志が働くと。

倉橋
仰るとおりです(笑)。ともあれそれは笑い話でもなくて、飲み会だって立派なコミュニケーションの場ですから。私にとっては非常に重要な時間なんですよ。
安田

確かになぁ。お酒を飲みながらだと、本音が聞けたりもしますしね。

倉橋

そうそう。新店を見に行ったときなんかは、現地の社員をご飯に誘いますしね。まぁ、令和の時代からすると逆行しているのかもしれませんけど(笑)。

安田

まぁ、好き嫌いはあるかもしれませんね(笑)。でも、そういうのが苦手な人は万代さんに入社しようとは思わないんじゃないかな(笑)。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に18店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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