第122回 記憶より記録を活かせ

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/記憶より記録を活かせ

某大手さん新人研修終了後に人材開発部門のY部長と振り返りをしたのですが、

「メモを取ることの大切さ」について「“記憶”より“記録”に残せ」と講義中に伝えた講師の言葉が印象に残っていたようです。

「確かに人の記憶は曖昧です。しっかりとメモに記すことは大切ですよね」

との言葉から、少し長めの講義の時間が始まりましたw

・人の脳は一度学習したことを、1時間後には56%忘れ、1日後には74%、1週間後には77%、1ヵ月後には8割を忘れてしまう
(エビングハウスの忘却曲線)

・いかに人の脳が忘れやすいか、その忘却曲線をいかに打破させ、自らの行動に活かせるようにサポートするのが我々人材開発の存在意義だ

・同じことを三度学習することで、忘却曲線は一気に緩やかになり3か月後にも8割は記憶に残る

・さらに言えば、1週間後に一度、2週間後に二度目、3週間後に三度目の復習をすることが、脳に定着させる学習方法だ

と、ドイツの心理学者エビングハウスさんの学説を説くと

「もっと言えば、『体全体で覚える』ことが大切。目で読み流すだけでなく、声に出すことで、口にも耳にも記憶を残せる。さらに書くことで手にも記憶を染み込ませることができるんです」

そうした、忘れないための学習法を定着させることが某大手さんでは大事にしているのだそうです。

「ただ、脳に定着させる学習は、基礎中の基礎であって、『その基礎を自ら掴みにいく』そして『それをどう活かすか。それこそが最重要』ですよね」と話すY部長の手元には、

「メモの重要性は理解できたが、効率的なメモの取り方についての具体的な方法を教えてもらえなかったことが残念でした」との受講者アンケートが握られていました。。

新社会人になって、まだ1週間。お客さん気分の抜けない新人さんがいてもおかしいことではないでしょう。

その後、酒場でひとり、Y部長のご講義をしっかりと残したメモを見ながら、今回の掲載記事を書き上げた高松ですが「なかなかなもんやな!」と、自画自賛し、酔いを進めたのでしたw

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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