「ネットの履歴書」っていう商品についてなんですけど。
はい。
具体的にはどういう商品なんですか?「何やってくれんの?」って聞かれたら、何て答えるんですか?
その人物の「リスク度合い」を、ネットの情報をもとに判定するサービス。
その人に関するネット情報を全部洗い出して、危険な人を判別するってことですか?
「明らかに問題がある人」を除外していく、という意味合いが強いですね。
それは、犯罪者ってことですか?
そこは完全なブラックですが、ブラックに近いグレイゾーンもあぶり出します。
たとえば?犯罪じゃないけど、ひどいこと書いてるとか?
ひどいこと書いているとか、コンプライアンス違反の画像や動画をアップしているとか。経歴詐称もありますね。
じゃあ会社によって、グレーゾーンは変わるわけですね。
変わる部分もあります。ただ位置づけとしては、あまりマイナスに振り切らないようにしたいです。
なるほど。では将来的には「プラスの面を見つけていく」サービスに入っていくのですか?
僕は採用を進化させていきたいと思ってます。
採用を進化?
はい。これだけインターネットの中にものすごい情報があるのにもかかわらず、採用にいかされてない。
普通の人は、そこまで調べられないですからね。
そうですね。ただ近い将来、必ず何らかの形でいかす時代が来ると思います。
ネットは情報の宝庫ですからね。
履歴書や職務経歴書という、本人が書いたものを受け取るだけではなく、ネットの情報をいかにいかしていくのか。それがテーマです。
ネットの情報をいかせれば、どういうことが起こるのでしょうか?
ミスマッチも減るでしょうし、企業が求めてる人材の採用にも近づきます。
私は本名でしかネットに書かないって、前回言いましたけど。
おっしゃってましたね。非常に珍しいパターンです。
それには理由がありまして、悪い人物像と同様に「良い人物像」もWebの中につくられていくと思うんですよ。
知名度アップのために、本名で発信している人はいますよ。
単なる知名度ではなく、「この人の発想は面白い」とか「深く考えている人だ」とか「相談に値する人だ」とか。
そこまで意識して発信している人は少ないと思いますが、そういうイメージは確実にネットの中でつくられてますね。
ですよね。だから、いかに「イメージ通りの自分」をWebの中につくっていくのか。それがすごく大事だと思っています。
まさにネットの履歴書ですね。
たとえば「ちゃんと考えて生きてる人」みたいなランキングがあれば、私は結構上位に入ってる自信があるんですけど。
企業からは依頼の少なそうな項目ですね(笑)
ひと昔前は「書籍を出してる人が凄い人」みたいなイメージがありました。
安田さんも、たくさん出してましたよね。
はい。私も書籍でかなりブランディングされました。でも今はwebでのブランディングにより力を入れてます。
本よりも手軽で身近なイメージはありますよね。
本って意外と長持ちしなくて、世の中の表舞台から「あっと言う間」に消えちゃうんですよ。
ずっと残りそうなイメージがありますけど。
ですよね。でも「ずっと残り続ける」のはwebの中の情報なんですよ。本は劣化しますけどweb情報は100年でも200年でも残り続けますから。
本を出している人の権威みたいなのは、どうですか?
売れない本の著者よりは、webの中で評価されてフォロワーが多い人の方が、ずっと影響力がありますね。
確かに。おっしゃる通りかもしれません。
ちょっと前までは「ネット=バーチャル」というイメージだったじゃないですか。
「ネット=現実逃避」的なイメージは確かにありますね。
でも今はwebの中の有名人の方が、リアルにお金を稼いでいたりするわけです。
webの中で非難された人が、現実社会でも住みにくくなったりもします。
今やwebとリアルは、限りなく密接につながってるんですよ。
食べログの点数とか、楽天トラベルのホテル評価とか、実際正しいですもんね。
情報操作だとか言われた時期もありましたけど、実際かなり正しいです。
すごく接客が悪くて不味い店が2.5ってことは、まずないですよ。3.5以上の店で外れたこともないです。絶対とは言えないでしょうけど。
ネットの評価は正しくなってきていますし、それを信じる人もどんどん増えてます。
そういう流れはすごく感じますね。
でも人物評価に関しては、まだまだ難しいですね。
良くも悪くも有名人は調べやすいんですけど。無名な人の評価は難しいです。
食べログの人物バージョンみたいなのは、やっぱり必要ですよ。ソルナさんの「ネットの履歴書」はそれに近くなっていくんですか?
なっていくと思います。ネット上の情報を、われわれが能動的に集めて、分析して、総合的に判断していく。
たとえばFacebookの投稿とかを分析すれば「この人は論理的だ」とか「この人、理論めちゃくちゃだよ」とか「ロジックが破綻してる」とか、分かりますよね?
分かるでしょうね。しかも、かなり高い確率で。
いずれは採用活動で、普通に使われるようになるかもしれませんね。ネットの履歴書が。
今の履歴書、経歴書に加えて、ネットの履歴書が普及するようにはしたいです。
履歴書も、経歴書も、必要なくなるかもしれませんよ。ネットで調べたら分かりますから。
その可能性はありますね。僕はとにかく採用を進化させたいんですよ。ネットの情報を生かして、これまでになかったマッチングを実現したい。
今まで誰も考えなかった、異次元のマッチングが可能になるかもしれませんね。
はい。これまでは表面的な部分でしか、マッチングを考えてなかったですから。
たとえばGoogleなんかは、学歴とか性別とか国籍とか、ぜんぶ情報を除外してるらしいです。
写真すらも見ないらしいですね。見ると先入観が入るので。
そういう意味ではweb情報だけを分析する方が、正確な人物像が分かりそうな気がします。
先入観のあるうわべ情報を捨てて、これまでなかった潜在的な情報を加えて、採用のあり方が進化していくイメージはあります。
でも今の10代とか、あるいはこれから生まれてくる子とか、その子について書かれた情報って、将来的には莫大な量になるじゃないですか?
ものすごい量になるでしょうね。
そのぐらいの量になっても、調査・分析できるものなんですか?
それは大丈夫です。テクノロジーもどんどん進化していきますので。
じゃあ、将来的には「ネットの履歴書」が人生をかなり左右することになりますね。
間違いなく、なっていくでしょうね。
みんな人前では良い顔して、ネットには悪口書いたりするじゃないですか?
はい。
そういうことは、もう許されないですね。ずっと履歴に残っていくという。
ネットの中の自分の行動も「リアルの自分と同じぐらいの責任を伴う」ということですね。
いや、リアル以上じゃないですか。だって人の記憶は薄れますけど、ネットの履歴は薄れませんから。
まあ、その通りでしょうね。
ちなみに、そのサービス、やってもらおうと思うと、おいくらぐらい必要なんでしょうか?
1人あたりの調査費用は1万5,000円です。
探偵さんより、ぜんぜん安いですね。
探偵さんだとこの10倍くらいは、かかりますね。ただ、プラットフォームを使うための初期費用が20万円かかります。
じゃあ、最初に20万円かかって、あとは1人につき1万5,000円?
はい。そうです。
20万は毎年ですか?1回だけですか?
最初の1回だけです。今後改定する可能性はありますけど。
改定したら高くなるってことですか?
その可能性はあります。
じゃあ、今がチャンスと。
いや、安くなる可能性もあります。
安くなることも、あるんですか?
はい。数が増えていけば、安くなる可能性はあります。私としてはどんどん普及していきたいので。
そうなったら使いやすいですね。
ただ個人情報はデリケートなので、データの保管費用を考えると、高くなる可能性もあります。
でも三澤さんとしては、下げていきたいと?
理想としては、オプション情報も加えて1万円とか、1万2,000円とかまで下げたいです。
・・・次回へ続く・・・