第10回 掛け算するなら「ものづくりの仕事」

この対談について

母から受け継いだ指輪をネックレスに、片方なくしたピアスをペンダントに、思い出の詰まった2つのリングを溶かして1つに――。魔法のようにジュエリーを生まれ変わらせるジュエリー修理・リフォーム専門店「Refine」(リファイン)。代表の望月信吾さんに、お客様に感動を届けるジュエリーリフォームの魅力、そして波乱万丈な人生についてお聞きする対談企画です。

第10回 掛け算するなら「ものづくりの仕事」

安田

Refine」のお仕事をしながら、同じ空間で別の事業も展開するとしたら、どういう見せ方がいいんでしょうか。入り口を「宝石のリフォーム屋さん」にするのか、入り口は違うお店で、入ってみたら「宝石のリフォームもやっている」という感じにするのか。


望月

それでいうと、表は「ジュエリー専門店」で、中に入ったら「店主が占いもやっていた」とか「陶芸作品も売っていた」とかは面白いと思いますね。

安田

なるほど。そうなると、やっぱりジュエリー先行の方がいいんですかね。


望月

うーん、でも逆のパターンもいけると思いますよ。たとえば入口は美容室で、施術中に借りれるタブレットにジュエリーリフォームのビフォーアフターが流れる、とか。

安田

ああ、いいですね。とはいえカットしてる最中とかにジュエリー目的のお客さんが来ちゃったら、ゆっくり相談を受けられないですよね。そう考えると、掛け算するにしても「相性のいい仕事」と「そうじゃない仕事」があるのかもしれません。


望月

一番無理がないのは「宝飾デザイナー」さんでしょうね。宝飾デザインの学校を出てる人はたくさんいるんですけど、その後デザインの仕事に就ける人はごく一部なんです。

安田

たしかに延長線上にあるお仕事なので、しっくり来ますね。ジュエリーが好きでデザインを勉強したんでしょうし、自分が作ったジュエリーを売りたい方はたくさんいるはずで。


望月

そうなんです。実際にうちのパートさんでもそういう方がいて。一つ一つ手作業で石やビーズを組み合わせて、ピアスやネックレスを作ってECサイトで販売してるんですよ。

安田

へぇ。すでにそういう方がいらっしゃるわけですね。お店でその方が作ったものも販売したりするんですか?


望月

ええ、中野マルイ店の店頭で販売していますよ。単価が1~2万円くらいなんですが、月20万円分くらい売れる時もあって。

安田

へぇ! すごい。そんなに売れるんですね。


望月

作った本人は売れて喜んでますし、お店としても商品の幅が広がるのでありがたいですね。それが引き金になって「ついでにリフォームもお願いしようかしら」となったりもするので、入口の商品としてすごく重宝しています。

安田

ははぁ、なるほど。ちなみにお店に置いている商品が売れた時は、売上をお店と折半するわけですか。


望月

ええ、歩合は相談して決めています。あともう1人、うちのデザイナーも自分でジュエリーブランドを持っているので、また別の店に商品を置いてます。そちらもけっこう人気なんですよ。

安田

その方は個人で宝石のブランドを持ってるんですか?


望月

そうですそうです。今はSNSで発信できるので、個人でブランドを持ってる人もけっこう多いんですよ。お客さんも100人くらい付いてたりして。皆で会場を借りて、年に何回か展示会なんかもやったりしているみたいです。

安田

へぇ〜、そうなんですか。アクセサリー系以外だと、バッグのような雑貨系はどうなんですかね。


望月

「お店の中でどう両立させるか」を考える必要はあるでしょうね。20~30万円のリフォームをご依頼いただくには、お客様から見て「ジュエリーのプロ」だと思ってもらわないといけないので。

安田

ああ、なるほど。確かにそうですよね。何カラットもあるようなダイヤを預けるわけですもんね。


望月

そうなんです。だから入り口は「ジュエリー専門店」で、「実はバッグも作ってます」という見せ方の方が信頼感は得やすい気がします。

安田

なるほどなぁ。今は「誰から買うか」が重視されるので、ジュエリーの相談で関係性ができて、「あなたが作ったバッグなら1個買ってみようかしら」となる可能性はありますよね。

望月

それは大いにあると思います。横浜の若葉台のお店は団地の中にあるんですけど、毎日来店されるお客様もいるんです。とはいえ毎日宝石は買えないので、「何か他に売ってくれるものはないの?」と聞かれたりしますし。

安田

へぇ、すごい。きっともう店長のファンなんですね。やっぱり自分で何か作って売りたいと思ってる人と相性がよさそうですね。その中でもアクセサリー系が特に相性がいいと。

望月

そう思います。宝石やアクセサリーが好きで、ブランドを作って売っているけどなかなかそれだけでは売りきれないという人は一番相性がいいでしょうね。

安田

そうですよね。お店に自分で作った商品を置いておけば、販路も広がるわけで。先ほどの手作りビーズの方も、商品が20万円分売れて、お店の給料ももらえるわけですよね。

望月

ええ、もちろん。宝飾系の学校を出た若い人たちには、「いつか自分のブランドを持ちたい」という人は多いんです。僕としても、そういう人を応援できたらいいなと思います。


対談している二人

望月 信吾(もちづき しんご)
ジュエリー工房リファイン 代表

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25歳で証券会社を退社後、父親の経営する宝石の卸会社に入るが3年後に倒産。その後独立するもすぐに700万円の不渡り手形を受け路頭に迷う。一念発起して2009年に大塚にジュエリー工房リファインをオープンして現在3店舗を運営。<お客様の「大切価値」を尊重し、地元に密着したプロのサービスを提供したい>がモットー。この素晴らしい仕事に共感してくれる人とつながり仕事の輪を広げていきたいと現在パートナー募集中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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