第36回 「Refine」は境目のないジュエリーリフォーム

この対談について

母から受け継いだ指輪をネックレスに、片方なくしたピアスをペンダントに、思い出の詰まった2つのリングを溶かして1つに――。魔法のようにジュエリーを生まれ変わらせるジュエリー修理・リフォーム専門店「Refine」(リファイン)。代表の望月信吾さんに、お客様に感動を届けるジュエリーリフォームの魅力、そして波乱万丈な人生についてお聞きする対談企画です。

第36回 「Refine」は境目のないジュエリーリフォーム

安田

今日は「ジュエリーとアクセサリーの境目」について再びお聞きしてみたいと思います。以前のお話では、望月さんの中では「修理して使うものがジュエリー」で、「壊れたら捨てるものがアクセサリー」というようなイメージで分けていると仰ってましたね。


望月

そうですね。もっとも、明確な境目があるというよりは、何となくそう捉えているだけなんですけど。

安田

あれから気になって調べてみたんですが、アメリカやイギリスでは装身具全てをジュエリーと呼ぶようなんです。


望月

調べたんですか? さすがだなぁ(笑)。

安田

気になったことは調べずにいられない性分でして(笑)。で、ジュエリーの中で高価なものを「ファインジュエリー」、安価なものを「コスチュームジュエリー」と呼ぶんですって。


望月

へぇ、つまり「ジュエリー」で一括りなんですね。ということは、日本で「アクセサリー」と呼んでいるものは「コスチュームジュエリー」になるのか。

安田

そうそう。それを知って思ったんです。英語の「ジュエリー」の使われ方って、「お客様にとって大切なものであれば、境目なく修理する」というRefineさんのスタンスとピッタリだなと。


望月

ああ、確かにそうかもしれません。お客様にお持ちいただいたものは、なるべく対応して差し上げたいと思っているので。

安田

そうですよね。だからこそ、「ジュエリー」と「アクセサリー」で分けずに、「ファインジュエリーもコスチュームジュエリーもどちらもお手伝いします!」という発信の方がお客さんも相談しやすい気がして。


望月

ははぁ、本当にそうですね。…ただ、僕らが分けているというよりは、どちらかというとお客様が「アクセサリーなんだけど…」と遠慮がちに持ってこられることが多いんです。

安田

ああ、なるほど。「すみませんジュエリーみたいに高価なものじゃないんですけど…」ということですね。


望月

そうそう。そんなことを気にされなくても、私たちに修理できるものなら基本的に何でもお受けしているんですけどね。ともあれ、材質によっては対応が難しいものも確かにあって。

安田

ああ、「ジュエリー」か「アクセサリー」かというよりは、材質の違いが重要だと。ちなみにどういうものだと対応できないんですか?


望月

例えば折れたり割れたりしたものを修理する場合ロウ付けという溶接をするんですが、プラスチックなどの材質だとそれができない。そういう場合に、あくまで便宜的に「アクセサリーなので溶接は難しいです」と説明することはありますね。

安田

ふーむ、なるほどなぁ。そう考えると、溶接ができるものが「ジュエリー」で、溶接できないプラスチックなどでできているものが「アクセサリー」と言えますか?


望月

ああ、それがわかりやすいかもしれません。その考え方でいくと、真鍮やアンチモニーのような合金も溶接ができないので、アクセサリーになるのかもしれませんね。

安田

なるほどなるほど。ちなみに溶接ができない場合はどうやって修理するんですか?


望月

そういう場合は接着剤でくっつけるしかないですね。半分くらいはそういうご依頼なので、接着剤もいくつかのタイプを揃えて、修理内容によって使い分けてます。

安田

へぇ。接着剤だけだったら自分でもできちゃいそうな気もしますけど、やっぱり難しいんですか?

望月

手先の器用な方だったらできちゃうんじゃないかなぁ。ただ、細かい部分の調整はプロじゃないとなかなか難しいと思いますね。場合によっては状態を悪化させてしまうかもしれないし。

安田

なるほど。確かに直そうとしてよけいに壊しちゃうよりは、手慣れた方にお願いした方が安心ですよね。ちなみに望月さんご自身が修理することもあるんですか?

望月

ありますよ。僕以外のスタッフがやる場合もありますし。

安田

へぇ、そうなんですね。じゃあRefineで働きたいという方には、細かい作業が好きな方が向いていそうですね。やりながらどんどん技術も身に付くでしょうし、日々の仕事にもやりがいを感じられそうです。

望月

そうですね。手作業が好きで、細かい修理にも挑戦できる人には、やりがいを持って取り組める仕事だと思います。「なんとかしてほしい」というお客様の気持ちに応えられる仕事なので。

安田

素晴らしいですね。ちなみにジュエリーじゃない「お皿が割れちゃったから直してほしい」みたいな相談にも対応してくれるんですか?

望月

ああ、そういうご要望もありますよ。例えばトロフィーや置物が割れてしまったとか、メガネの縁が壊れたとか。

安田

そんなことまで? それはさすがにメガネ屋さんの方がいい気がしますけど(笑)。

望月

笑。もちろん私たちでできないことは専門店をご案内しますけど、簡単な修理であればお受けすることもありますね。

安田

ははぁ、もはや「ジュエリーリフォーム」という枠を超えた対応力ですね。でもそれだけお客様にとって「頼れる存在」になっているのが伝わります。メガネやトロフィーの修理も「ここなら何とかしてくれるかも」という信頼があってのことでしょうから。

望月

そう思っていただけるのはありがたいですね。ジュエリー以外のものでも、「まずはRefineに相談してみよう」と感じていただけるような存在でありたいと思っています。


対談している二人

望月 信吾(もちづき しんご)
ジュエリー工房リファイン 代表

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25歳で証券会社を退社後、父親の経営する宝石の卸会社に入るが3年後に倒産。その後独立するもすぐに700万円の不渡り手形を受け路頭に迷う。一念発起して2009年に大塚にジュエリー工房リファインをオープンして現在3店舗を運営。<お客様の「大切価値」を尊重し、地元に密着したプロのサービスを提供したい>がモットー。この素晴らしい仕事に共感してくれる人とつながり仕事の輪を広げていきたいと現在パートナー募集中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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