第25回 美しい庭を保つためのアフターフォロー

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第25回 美しい庭を保つためのアフターフォロー

安田
今回はお庭のアフターフォローについてお聞きしたいなと。お家を建てたときは、定期点検や補修工事をやってくれたりしますけど、お庭にもそういうものはあるんですか?

中島

ああ、確かに新築住宅だと、建付けや水回りなど必要に応じて点検や修理をしてくれたりしますね。お庭ではそこまで明確なものではありませんが、1年に1回は手入れさせていただくことをおすすめしています。

安田

direct nagomiさんの事例Instagramを見ていると、お庭を作った後も定期的に訪問されている印象を受けます。でも、1年に1回なんですね。


中島
ええ、基本的にはそれで充分だと思います。もちろん何か不具合が起こったときなどは、都度対応させていただきますけれど。樹木に毛虫が付いてしまったとか、カーポートが台風で飛んでしまったとか。
安田

ははぁ、なるほど。ということは、年に1回のチェックをするほかは、基本的には「なにかが起こったら対応」する形なんですね。でも、しつこいですが、本当に年に1回だけでいいんですか?


中島

ええ。逆に言えば、それくらいのメンテナンスですむように、あまり茂りすぎない木を選んで植えているんです。

安田
ああ、なるほど。確かに「メンテナンスの簡単さ」にはとても気を遣われている印象です。ちなみにその年1回の手入れでは、どういうことをするんですか? だって、木はそんなに伸びていないわけでしょう?

中島
そうですね。どちらかというと、「これからも伸びにくくするための手入れ」をするイメージです。木というのは、切られた部分を伸ばす方に養分を使います。そうでないと幹がどんどん太くなっていってしまう。ですから敢えて枝にハサミを入れてあげて、太くなるのを防ぐんですね。
安田
ん? 木は太くならない方がいいんですか? 盆栽だと細い幹をだんだんと太くしていって、本物の木のように見せた方がいいとされていますけど。

中島

ああ、なるほど。盆栽の場合は、鉢の大きさ以上には根が広がりませんよね。つまり生長に限度があるので、大丈夫なんです。でも、直接地面に植えている木は、ある意味で無限に根が広がっていってしまう。放っておくと、大きく育ちすぎてしまうことがあるんです。

安田

ああ、なるほど。鉢という制限がないから、人間の手で調整してあげる必要があるんですね。


中島
そういうことです。もっとも、絶対に太らせてはいけないということではありません。重要なのはスケール感です。一般住宅の庭にふさわしいスケール感と、広いお寺や庭園などにふさわしいスケール感は違うので。
安田

ああ、確かに。お寺や庭園にはドシッと太い木が似合いそうです。


中島

ええ。でも、同じものが一般住宅にあったら、少し存在感が強すぎてしまうでしょう? それに、幹が太くなると、その分養分を吸い上げる量も増えます。結果、上に伸びるペースも早くなってしまうんです。

安田
へぇ、そうなんですか。でもそれはそうでしょうね。横だけじゃなく縦にだって伸びる。

中島
ええ。太くなればなるほど、縦にもどんどん伸びていきます(笑)。そうなると当然、葉もいっぱい茂るようになります。結果、メンテナンスが大変になってしまうんです。
安田
なるほど。大きく茂ればいいというものでもないと(笑)。

中島

そうなんです。それに、メンテナンス性だけの問題じゃないんです。あまり葉が多いと、その影で家が暗くなったり、外からの視認性も悪くなってしまう。

安田
ああ、そうなるとちょっと「不気味な家」って感じがしちゃいそうです。

中島
だからこそ、適度な状態を維持できるよう、年1回はメンテナンスとしての剪定をした方がいいんです。それさえきちんとやっておけば、完成時に近い形でずっと保つことができますから。
安田
ははぁ、なるほど。年に1回、ベストな状態になるように切ってあげる。それでまた1年経ったら、伸びた分だけまた切ってあげる。そう考えると、なんだか散髪みたいですね(笑)。

中島
まさにそうですね(笑)。コツは「ちょっと切り過ぎかな」というくらいまで切ることです。美容院でも、切ってもらってから1週間くらいすると、ちょうど馴染んできますでしょう?
安田
なるほど、わかりやすい(笑)。ちなみにその年1回のメンテナンスは、皆さん絶対に受けられるものなんですか? それともやらない家もある?

中島

そうですね。やらないお宅もありますし、ご自身で手入れされている方もいますね。

安田

へぇ、自分で。でも剪定って技術がいるし、素人でもできるものですか?


中島
できないことはないと思いますけど、当然プロがやったほうが仕上がりはよくなりますね。少し妙な表現に聞こえるかもしれませんが、きちんとした技術のある職人が切った場合、パッと見た感じでは「切ったことがわからない」んです。
安田

ははぁ、なるほど。見るからに「切りました!」という感じじゃなく、さりげなく自然な雰囲気で切れると。そういうのこそ「プロの技」って感じがしますね。ちなみに職人さんに頼むと料金はいくらぐらいなんですか?


中島
会社によって違いますが、だいたい1回3万円〜ですね。
安田

ほう。じゃあ年間3万円〜でお庭をきれいな状態で維持できると。……ふと思いついたんですが、3年間のメンテナンスプランがあったら安心じゃないですか? プラス6万円で3年先までお庭の心配をしなくていいわけで、至れり尽くせりな感じがします。


中島
なるほど、確かにそうですね。自分たちで作ったお庭は、できれば自分たちでメンテナンスしたいなとちょうど思っていたんです。ぜひ取り入れたいと思います。
安田

おお、いいですね! これからdirect nagomiさんに庭づくりを依頼する方は、アフターフォローまで付いてくるので安心ですね。


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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